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通信制高校は単位制の仕組みを利用し、3年以上の在籍、74単位の取得、30単位時間の特別活動を行い高卒資格を得られる学校のこと。2019年のコロナ渦以降、4万人も急増。学校に通わなくても勉強ができた体験、不登校へのサポートが支持を集めている。
通信制高校は単位制の仕組みを利用し、3年以上の在籍、74単位の取得、30単位時間の特別活動を行えば高卒資格を得られる学校です。毎日決められた時間に登校する必要はなく、多様な学習コースが設けられています。
高等学校 | |
---|---|
2015年 | 350.0 |
2016年 | 349.0 |
2017年 | 346.3 |
2018年 | 342.2 |
2019年 | 336.6 |
2020年 | 329.9 |
2021年 | 322.7 |
2022年 | 319.5 |
通信制高校 | |
2015年 | 18.0 |
2016年 | 18.1 |
2017年 | 18.3 |
2018年 | 18.7 |
2019年 | 19.8 |
2020年 | 20.7 |
2021年 | 21.8 |
2022年 | 23.8 |
高等学校 | 通信制高校 | ||
---|---|---|---|
2015年 | 350.0 | 2015年 | 18.0 |
2016年 | 349.0 | 2016年 | 18.1 |
2017年 | 346.3 | 2017年 | 18.3 |
2018年 | 342.2 | 2018年 | 18.7 |
2019年 | 336.6 | 2019年 | 19.8 |
2020年 | 329.9 | 2020年 | 20.7 |
2021年 | 322.7 | 2021年 | 21.8 |
2022年 | 319.5 | 2022年 | 23.8 |
全日・定時制 | |
---|---|
2015年 | 5,422 |
2016年 | 5,404 |
2017年 | 5,382 |
2018年 | 5,369 |
2019年 | 5,358 |
2020年 | 5,342 |
2021年 | 5,319 |
2022年 | 5,280 |
通信制 | |
2015年 | 100 |
2016年 | 104 |
2017年 | 107 |
2018年 | 110 |
2019年 | 113 |
2020年 | 117 |
2021年 | 119 |
2022年 | 126 |
全日・定時制 | 通信制 | ||
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2015年 | 5,422 | 2015年 | 100 |
2016年 | 5,404 | 2016年 | 104 |
2017年 | 5,382 | 2017年 | 107 |
2018年 | 5,369 | 2018年 | 110 |
2019年 | 5,358 | 2019年 | 113 |
2020年 | 5,342 | 2020年 | 117 |
2021年 | 5,319 | 2021年 | 119 |
2022年 | 5,280 | 2022年 | 126 |
通信制高校の生徒数は2000年代に入り18万人程度で推移していました。学びの自由度の高さもあり、2015年度から毎年増え続け、2022年度には約24万人に達しました。特に、コロナ禍で学校が休校する事態にもなった2019年度以降は4万人も急増。ニーズの高まりや多様化に応じて、学校数も増加し、多様な学び方ができるようになりました。
高校生年代の人口が減少する中でも通信制高校に生徒が集まる理由は、①コロナ禍で学校に通わなくても勉強できる体験をしたこと、②通信制高校が不登校経験をもつ生徒を親身にサポートしている2点が挙げられます。
また、小・中学校の不登校児童は約24万5千人にのぼっており、単位制を活かした学び直しや勉強以外のやりたいことに注力できる通信制高校は不登校経験を持つ生徒からも支持されています。
<出典>
◎通信制高校の生徒数:238,267名
令和4年度 学校基本調査
◎不登校児童の人数
令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について(通知):文部科学省 (https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422178_00003.htm)
目次
通信制高校は必要な単位を取れば卒業できる単位制高校です。単位を取るのは何年目でも良いため、この仕組みを活かせば中学の勉強から学び直して大学受験を目指したり、海外留学や資格取得に挑戦するなど、自分の興味があることに時間を費やせます。
全日制高校と定時制高校にも一部で単位制が導入されていますが、毎日登校してみんなと一緒に授業を受ける学習スタイルが基本となっているため、その活用は限定的です。単位制のメリットを最大限活用できるのは通信制高校だけと言えます。
全日・定時制 |
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1年で取得する単位が決まっていて、3年間で74単位を満たす必要がある |
年間の規定単位を満たさないと留年してしまう |
単位制 |
3年間で74単位を取得すればよい |
留年がなく、3年間で規定単位を満たせば卒業できる |
全日制高校は1年ごとに進級する学年制で、出席日数が足りず単位を取れなければ留年となってしまいます。一方、単位制の通信制高校には学年の区分がないため留年もありません。テストの結果が悪ければ補習と再テストを受けることになりますが、再テストで不合格になっても単位が取れないだけで次の学期に再チャレンジできます。
留年がなく、規定の単位を取れば卒業できる自由度の高さから、通信制高校なら長期の語学留学やスポーツ遠征に挑むことも可能です。生徒一人ひとりが自分のペースで卒業を目指せます。
通信制高校を卒業するための条件は3つあります。
①3年以上在籍する(転入・編入した場合は以前の高校の在籍期間も含みます)
②3年間で74単位を取得する
③3年間で特別活動を30単位時間行う(特別活動とはホームルームや文化祭などの学校行事を指し、1単位時間は50分です)
かつては卒業までに4年以上かかってしまうケースもありましたが、近年は新しい環境に馴染み、レポート中心の学習スタイルに慣れるためのサポートを各学校が行い、特に私立の通信制高校では手厚いサポートを提供することで卒業率を高めています。
単位取得に必要なこと |
---|
レポート |
スクーリング(対面授業) |
テスト(単位認定試験) |
単位を取得するには、①レポートを提出し、②スクーリング(対面授業)を受け、③テスト(単位認定試験)をクリアしなければなりません。
レポートは教科書に対応した問題集で、自宅で勉強しやすいように内容がまとめられています。以前は紙の用紙に解答を書き、学校に提出するか郵送するかの二択でしたが、最近はタブレットでレポートを解いてWEBで送信できる学校も増えています。
スクーリングは普段通う校舎やキャンパスに登校するパターンや合宿型の集中スクーリングなど学校によって異なり、多くの学校ではスクーリング時にテストが行われています。
全日・定時制 | |
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学習法法 | クラス単位での学習 |
学習サポート | 日々の学校生活の中でサポート |
通信制高校 | |
学習法法 | レポートでの自習が基本 |
学習サポート | 登校時やWEBで個別サポート |
全日制高校や定時制高校では毎日登校してみんなと一緒にクラス授業を受けますが、通信制高校ではレポートを中心に自分で学習を進めます。
学習方法が全日制高校や定時制高校とは大きく違うため、「自分で勉強するなんて無理だ」と思うかもしれませんが、特に私立の通信制高校では登校時やWEB上での学習サポートを充実させ、単位取得に導いています。
レポートには学校ごとに期限が設けられており、レポート学習を通して自己管理やスケジュール管理の力も身に付きます。
公立通信制高校 | |
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学費 | 安い |
サポート | あまり無い |
卒業率 | 低い |
私立通信制高校 | |
学費 | 選択コースによっては高い |
サポート | 手厚い |
卒業率 | 高い |
公立の通信制高校は、すでに働いている人が高卒資格を取るために創られた経緯があります。そのため、レポートは一人で進めることを前提とし、サポートも手厚くありませんが、その分、学費が安いです。
一方、私立の通信制高校は学費が高い分、不登校や学習支援をはじめ生徒一人ひとりに寄り添ったサポートをしています。レポート作成のアシスト、生徒の交流イベントや学校行事による社会性やコミュニケーション力の向上、企業や学校見学を通した将来へのきっかけづくりなども行っており、卒業率は私立の方が高いです。
また、以前は全日制高校からの転入生がほとんどでしたが、コロナ禍以降は「オンライン学習の方が自分には合っている」という理由で中学卒業後に通信制高校へ進学する新入生が増えています。
偏差値の有無 | |
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全日制高校 | ある |
通信制高校 | ない |
偏差値とは受験の目安に予備校が作成したもので、通信制高校に偏差値はありません。通信制高校の良さは、何よりも単位制を活用した自由度の高さとやりたいことに打ち込める環境です。通信制高校への進学を希望する中学3年生が増えているのも、この環境に惹かれる生徒が増えているからと言えます。
小学校や中学校の勉強から学び直すことで学ぶ面白さを知り、友達づくりをやり直すことで学校生活も心から楽しめるようになります。偏差値に縛られない高校選びが、人生を前向きに変えるきっかけになるはずです。
① 入学金 | |
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3~4万円 | 入学時のみ |
② 授業料 | |
7,000円~12,000円×履修単位数 | - |
③ 施設費 | |
2~3万円 | 年間 |
④ システム管理費 | |
3~4万円 | 年間 |
学費の主な内訳は、入学金、授業料、施設費、システム管理費です。およその金額は以下のようになっています。
①入学金:3~4万円
②授業料:7,000~12,000円×履修単位数
③施設費:2~3万円
④システム管理費:3~4万円
1年間 | |
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25単位 | 17万5千円~30万円 |
このうち、①は入学時のみ、②~④は毎年費用がかかります。②の授業料については1単位あたり7,000~12,000円かかり、卒業には74単位が必要となるため1年で25単位を取る場合は17万5千円~30万円ほどかかる計算です。
この他、選択コースや修学旅行などのオプションは別途費用が発生します。
世帯年収 | |
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590万円未満 | |
適応範囲 | 25単位で20万円支給 |
授業料の負担 | 年間授業料が20万円以下なら実質無料 |
世帯年収 | |
590~910万円 | |
適応範囲 | 1単位につき4,812円(定額)引かれ、差額が自己負担 |
授業料の負担 | 1単位の授業料が7,000円なら2,188円が自己負担、25単位の場合は54,700円を負担 |
世帯年収 | |
910万円以上 | |
適応範囲 | 就学支援金の対象外 |
授業料の負担 | 全額自己負担 |
通信制高校にも世帯年収に応じた就学支援金が支給されます。就学支援金は世帯年収に応じて支給額が以下のように変わります。
①世帯年収590万円未満
②世帯年収590万~910万円未満
③世帯年収910万円以上
①の場合は25単位で20万円支給されるため、年間授業料が20万円以下なら実質無料です。
②の場合は1単位につき4,812円が引かれ、差額が自己負担となります。1単位の授業料が7,000円なら2,188円が自己負担となり、25単位の場合は年間で54,700円を負担します。
③の場合は就学支援金の対象外です。全額自己負担となります。
自宅で学ぶネットコースから週1日~週5日の通学コースまで、通信制高校ではさまざまな学習スタイルを自分で選択できます。コースによって学費も変わり、登校しないネットコースが最も安く、通学日数が増えるほど学費も高くなるのが一般的です。これは、通学日数が増えるほどより手厚いサポートが行われるためです。
全日制高校や公立と私立で比べると、公立の全日制高校と公立の通信制高校が同程度、それから私立の通信制のネットコース、週1日登校コースの順で高くなります。週5日登校コースと私立の全日制高校の学費を比べると、週5日登校コースの方が若干安い印象です。
通学日数や専門コースの選択、学校イベントへの参加などは基本的にオプションとなります。例えば、全日制高校に通っていても難易度の高い大学を目指すなら塾や予備校に通い、ダンスや英語を専門的に学びたいなら専用のスクールに通うはずです。そして、高校の学費以外に塾やダンススクールの月謝が発生します。
通信制高校のオプションもこれと同じ考えで、受験コースや専門コースの選択、修学旅行や企業研修などの学校イベントに参加する場合は別途費用がかかります。ただし、コース選択や学校イベントへの参加はすべて生徒の自主性に委ねられ、強制的なものはありません。
入学試験 | |
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内容 | 作文や簡単なテスト |
面接時に聞かれること | |
志望理由 | なぜこの学校に入りたいと思ったのか |
これからの目標 | 入学して何を頑張りたいか |
入学試験では作文や簡単なテスト、面接が実施されます。中でも、いろいろな生徒が集まる通信制高校では学校との相性と入学意思を確認する面接が重視され、テスト結果で不合格になることはほとんどありません。
面接でよく聞かれるのは、「なぜこの学校に入りたいと思ったのか」という志望理由と「入学して何を頑張りたいか」という今後の目標です。面接があると考えただけで緊張するかもしれませんが、上手く話す必要はありませんし通信制高校の先生方は話しやすいように助けてくれます。自分の想いを真っすぐ伝えれば大丈夫です。
万が一、不合格だったとしても、落ち込む必要はありません。通信制高校は学校ごとに校風や受けられるサポートが大きく異なります。もっと自分に合う学校があると前向きに捉えてください。
空白期間なく転入すれば3年間で卒業できる可能性がある
前の学校を辞め、空白期間があると3年間での卒業は難しい
全日制高校へ転入・編入できるタイミングは年2回程度ですが、通信制高校には随時入学できます。在籍している高校を退学せずに転校する「転入」であれば空白期間も生まれず、以前の高校の同級生とも同じ時期に卒業できるため、まずは転入を検討してください。一度退学を挟む「編入」の場合、例え数カ月しか空白期間がなくても卒業時期は半年以上ずれてしまいます。すぐに転校したくても退学届は出さず、転校先の先生と相談しましょう。
転入・編入の手続きは約1カ月かかります。また、転入・編入の場合も入学試験として書類審査や面談が行われます。
文化祭や体育祭をはじめ、ゲーム大会、研修旅行、企業見学など、通信制高校の中には全日制高校と比べても豊富な課外活動を用意している学校があります。その理由は、高校卒業後の進路決定率が全日制高校よりも低いことが挙げられます。専門学校や大学、あるいは企業の見学を通して興味の幅を広げ、進路を決める手助けをしているのです。
そして、さまざまな課外活動は同じ趣味や志向の友人を見つけやすい、というメリットもあります。特に普段から顔を合わせる通学コースであれば友達を作りやすく、全日制高校と同じように高校生活を楽しめるでしょう。
通信制高校を卒業するには3年以上在籍して74単位を取得し、ホームルームや文化祭などの特別課外活動を30単位時間行わなければなりません。逆に言えば、この条件さえ満たせば卒業できるため、新入生は単位の取得を意識しておけば問題ないでしょう。
注意が必要なのは全日制高校から転入・編入した場合です。全日制高校は授業とテストを1年間通して受けなければ単位を取得できず、年度の途中で転校すると全日制高校での単位はゼロとなります。
この問題を解決する方法は、前期(4~9月)の間に転入することです。前期中に転入すれば通信制高校で前期と後期両方の単位を申請できるため、レポート提出などの課題をクリアすれば卒業時期もずれません。ちなみに、通信制高校は2学期制の学校が多く、卒業時期は3月と9月に設定されています。
通信制高校の進路決定率 | |
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通信制高校の進路決定率 | 60.2% |
大学進学 | 19.5% |
専修学校(専門課程) | 24.7% |
就職 | 16% |
通信制高校の進路決定率は60.2%です。その内訳は、大学:19.5%、専修学校(専門課程):24.7%、就職:16%となっています。
「通信制高校に入学すると大学進学や就職に不利になる」と言われることがありますが、大学や企業が懸念しているのは「毎朝決まった時間に起きられるのか」といった生活習慣の部分です。特に、就職すると毎日同じ時刻に会社へ出社しなければならないため、「きちんと出社して仕事を続けてくれるだろうか」と心配するのです。
この点については通信制高校のサポートを受け、自己肯定感を高めることで解決できます。実際、多くの通信制高校が進路決定率の向上に力を入れおり、通信制高校への入学が進路に悪影響を及ぼすことはありません。
※令和4年度国公私立大学入学者選抜実施状況
https://www.mext.go.jp/content/20230123-mxt_daigakuc02-000027141_03.pdfより算出
一昔前から大学入試は大きく様変わりしています。その代表的な例が、従来のセンター試験から大学入学共通テストに変わったこと、そして推薦入試が大幅に増加していることです。いまでは一般入試よりも推薦入試の方が合格者は多く、この傾向が通信制高校の在校生に有利に働いています。
通信制高校はカリキュラムの自由度が高いため、英検や漢検など推薦入試に活きる検定をはじめ部活動や委員会、ボランティアなどの活動にも注力でき、それらは入試でアピールできる活動実績となるからです。通信制高校で学校生活を充実させれば、難関大学にも推薦入試で合格できる可能性が高まります
単位取得に必要なこと |
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レポート |
スクーリング(対面授業) |
テスト(単位認定試験) |
通信制高校では①レポートを作成・提出し、②スクーリング(対面授業)を受け、③テスト(単位認定試験)で合格点を取れば単位を取得できます。
レポートにはそれぞれの学校で提出期限が設けられ、未提出のレポートがあれば先生が生徒と保護者に連絡します。また、テストで不合格だった場合は補習と再テストを実施。単位の取得は卒業要件の一つになっているため、各学校が適切にフォローしてくれます。
しかし、レポートの提出期限がくれば連絡が来るからと安易に考えていると、取り返しのつかない事態になるかもしれません。入学前から単位取得の流れや期限を把握し、ゆとりをもって勉強を進めましょう。
レポートとは教科書に対応した問題集のことです。例えば、日本史のレポートなら「江戸幕府を開いたのは誰?」という設問があり、「徳川家康」と記入すれば正解となります。レポートはテストではないので教科書を見ながら解いても良いですし、自習をスムーズに進められるように学習動画を用意している学校もあります。レポートが難しすぎてまったく進まない、ということはないので安心してください。
教科書を開く気分になれない時は、保健や体育など解きやすい科目のレポートから取り掛かってみましょう。簡単だと思えれば時間と心に余裕も生まれます。
スクーリングとは対面授業のことで、普段はオンラインで学習している生徒もスクーリングには必ず参加しなければなりません。スクーリングは文部科学省によって年20日程度の実施が義務付けられており、公立の通信制高校の場合は年20日ほど指定場所でスクーリングを受けます。
一方、私立の通信制高校では動画授業を導入することでスクーリング日数を短縮している学校もあり、日数や会場は学校によって違います。遠方に合宿する集中スクーリングを行う学校もあるので、どこで何日ほどスクーリングをするのか、入学前に必ず確認しましょう。
全日制高校 | |
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概要 | 定期テストで学年全体の順位を競う |
評価 | 上位から点数をつける相対評価 |
通信制高校 | |
概要 | 単位認定試験のため、レポートの理解度をチェックすることが目的 |
評価 | 生徒を個別に評価する絶対評価 |
全日制高校では中学と同じように中間テストと学期末テストが行われ、学年全体で成績を競います。しかし、通信制高校のテストは単位認定試験のため、基本的にはレポートで学習した内容の理解度をチェックするものです。
テストを受けるにはレポートとスクーリングの規定を満たしている必要があり、不合格だったとしても補習と再テストが行われます。
成績の付け方も上位から順に「5」「4」と付ける全日制高校の相対評価とは異なり、生徒一人ひとりの成績を個別に評価していく絶対評価で通知表が作られます。
小学校や中学校からの学び直し、不登校経験者への登校支援など通信制高校ではさまざまなサポートを行っています。学習面では放課後に教員がマンツーマンで勉強を教え、学校生活においては共通の趣味をもつ生徒を集めて交流の機会をつくり、友達づくりもアシストしているほどです。
通信制高校ならではの手厚いサポートによって生徒たちは失っていた自信や自己肯定感を取り戻し、何事にも前向きに取り組むようになります。その結果、視野が広がり、自分のやりたいことを見つけ、高校卒業後の進路についても考えるようになる。通信制高校のサポートは生徒の可能性を広げてくれるのです。
サポート校とは通信制高校に在籍する生徒のための教育施設です。学習支援やメンタルケアをはじめ、生徒一人ひとりに寄り添った指導をしています。
例えば、学習面ではクラスの集団授業、個別指導、家庭教師、ネット指導など多彩なスタイルがあり、学校に登校したい生徒や体調と相談しながら勉強を進めたい生徒など、それぞれのニーズに応じて選択できます。また、大学受験やダンス、製菓のように将来の目的に合わせた専門コースも設けています。
尚、サポート校を活用する場合も提携する通信制高校に所属することになるため、通信制高校の卒業要件を満たせば高卒資格を取得できます。
通信制高校のメリット |
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カリキュラムの自由度が高い |
自分のペースで学べる |
プログラミングやK-POPなども学校で学べる |
不登校支援に長けている先生が多い |
先生が友達つくりをサポート |
人間関係のトラブルに敏感、理解も深く、いじめも少ない |
通信制高校には全日制高校のような決まったカリキュラムがないため自由度が高く、自分のペースで学びながらやりたいことに時間を使えます。eスポーツやK-POPなどのコンテンツを学校で学べるのも、生徒本位で考える通信制高校ならではの特徴です。
また、通信制高校が不登校経験者の受け皿になっていることから不登校支援に長けた先生が多く、生徒にとっても保護者にとっても安心できる環境です。友達づくりも後押ししてくれるので全日制高校と同じような生徒同士のコミュニティがあり、通学コースなら放課後は仲の良い友達と一緒に帰るなど学校生活を楽しむこともできます。人間関係のトラブルに敏感な生徒も多いため、生徒の理解の深さからいじめもありません。
通信制高校のデメリット |
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規則正しい生活を送り、自己管理が求められる |
通信制高校は、通学スタイルによっては毎日登校する必要がなく、勉強もレポートを中心とした自学自習が基本となります。そのため、普段から規則正しい生活を送り、レポートの提出期限を守るといった自己管理が求められます。しかし、これは自由に使える時間が多いというメリットの裏返しでもあります。
また、自分に合った学校を選ぶことも大切です。
通信制高校はこの4~5年で大きく変化し、多様化が進んでいます。必要な学びや希望するサポートを受けられないことで、学校に通うこと自体がデメリットとなってしまわないように、入学前に学校の雰囲気や特色などを知っておく必要があります。
通信制高校への入学を検討すると、周囲の人たちから「通信制高校はやめとけ」「通信制高校なんて甘えだ、ズルい」といったネガティブな意見を聞くことが多いようです。特に、知恵袋や掲示板、SNSなどはその傾向が強くあります。
なぜこのようなことが起こるのか。その理由は、いまの通信制高校を知らず、過去のイメージで話しているからです。
いまの通信制高校の生徒は、全日制高校に通う生徒と同じです。授業中は静かで、休み時間には友達と話し、放課後は部活動や委員会をがんばる生徒もいます。不登校経験をもつ生徒がもう一度学校生活を楽しめるのも、通信制高校が生徒の学習面と精神面を適切にケアしているからです。
コロナ禍以降に増えた通信制高校の志望理由 |
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雰囲気に惹かれた |
自由度が高くやりたいことができる |
自宅でも勉強できる |
自学自習の通信制高校が自分に合っている |
通信制高校に対して、全日制高校を退学になった生徒の受け皿というイメージや、過去の荒れたイメージを持っている方は今も多くいます。
一方で、現在の通信制高校にはさまざまな生徒が在籍していて、不登校を経験したものの通信制高校のサポートでもう一度学校に通えるようになった生徒や、勉強は苦手でも得意なことを見つけて学んでいる生徒。さらにコロナ禍以降は、自宅でも勉強できると知った生徒が、通信制高校のほうが自分に合っていると考えて中学卒業後の進学先に選ぶことも増えています。
入学理由の多様化から、通信制高校はアップデートを重ねてきました。今では、好きなことを学べる、さまざまな課外活動を行う、同級生の友達をつくれる、大学進学や就職を見据えたサポートを行う学校へと変貌しています。こうした背景を知れば、通信制高校に通う生徒も「普通の子」であることがわかります。
通信制高校に入ると人生終わりと思われる理由 |
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今の通信制高校を知らないことによる偏見 |
ネット上の書き込みなどによるネガティブなイメージ |
通信制高校は多様化が進み、eスポーツのような新しい学習コースが次々と生まれ、不登校や発達障害の支援も拡充しています。自分に合う学校に入学すればマイナスの要素はありませんし、もう人生終わりだと悲観する必要もありません。
懸念点を挙げるなら、やはり通信制高校を知らないことから生まれる偏見です。特に親世代や地方部では実際の通信制高校について知る機会がほとんどないため、数十年前の悪いイメージをいまだに引きずっていたり、ネット上の悪意ある書き込みなどに影響されてしまうことがあります。
「通信制高校に行きたいけど親が反対する」という場合は、個別相談会やオープンキャンパスに親子で参加してください。きっと従来のイメージが180度変わるはずです。
増えている全日制高校の退学理由 |
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SNSが絡んだ友人関係のトラブル |
通信制高校はどんな場所? |
不登校や退学経験者の受け皿 |
生徒の個性と自主性を尊重される場所 |
入学するとどうなる? |
ポジティブな気持ちになれる |
卒業後の進路は? |
推薦入試を受けて大学に合格する生徒が増加中 |
近年は不登校の中学生が増え、全日制高校では退学者が増えています。退学理由も一昔前のようないじめではなく、SNSが絡んだ友人関係のトラブルが多いようです。通信制高校はこのような不登校や退学経験者の受け皿となり、その結果さまざまな生徒が集まる場所に変容しました。
生徒の個性と自主性を尊重する通信制高校でポジティブな気持ちになれた生徒は卒業後の進路にも自然と目を向けるようになり、通信制高校から推薦入試を受けて大学に合格する生徒が増加しています。これも、思考力の向上につながるレポートや進路決定のサポートなど、多くの通信制高校が生徒の将来を見据えた取り組みを行っているからです。
不安な理由は? |
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ほとんどは通信制高校を知らないことから来ている |
子どもが通信制高校に通う意思を示すと、学校生活を楽しめるのか、卒業できるのか、と不安を覚える親は多いです。しかし、不安のほとんどは通信制高校を知らないことから来ており、通信制高校のサポート内容を知れば必ず不安は解消します。
通信制高校にも全日制高校と同じように部活動や委員会があり、文化祭や体育祭といった学校行事も催されます。つまり、全日制高校と同じような青春が送れるということです。
個別相談会やオープンキャンパスに参加すると、普通の子が学校生活を楽しんでいる様子を見ることができます。