通信制高校への転入、編入を後悔しないために知っておいて欲しいこと

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通信制高校の転入は後悔しがちなのはなぜ?

通信制高校の転入は後悔しがちなのはなぜ?

通信制高校への転入を最も後悔するのは、同級生と卒業時期がずれてしまう時でしょう。全日制高校から転入して3年間で卒業できると思っていたのに、できないとわかった時はショックを受けるはずです。そして、「こんなことなら全日制高校に居続ければ良かった」と思うでしょう。これは単位修得の仕組みに起因する問題で、全日制高校は年度末に単位を修得するため、年度の後半に転入すると全日制高校の単位が取れず、単位の修得時期が年2回ある通信制高校でも後期分の単位しか修得できず、卒業時期がずれてしまうのです。この問題に関しては通信制高校の先生に早めに相談し、適切な転入時期を話し合うことで解決できます。
もう一つの後悔する要因はスクーリング(対面授業)です。スクーリングは「毎月決まった日に登校する」「合宿を行う」など、学校ごとに形式が異なります。普段通っている学校がスクーリング会場を兼ねている場合もあれば遠方の本校で行う場合もあり、生徒によってはスクーリングが大きなハードルとなります。ただ、これも入学前に場所や期間を把握することで自分がクリアできるかどうかを判断できます。

その他には、「希望するサポートが受けられない」「友達ができない」といった理由で後悔することがあります。学費が安いから、近いから、と安易に転入先を選ぶと、不登校の解決や学力向上など自分に必要なサポートを受けられないかもしれませんし、友達をつくりたいのに生徒同士の交流や課外活動が少ない学校に入学すると友達づくりの機会に恵まれないかもしれません。こうした問題も、単位やスクーリングと同様に転入先候補の通信制高校がどのような学校なのか知ることで解決できます。転入を考えたらまずは通信制高校の個別相談会に参加して先生と話し、その上でいくつかの学校を見学してみましょう。

通信制高校に転入する生徒の親の気持ち

親が高校生の子どもに期待するのは、毎日学校に通い、授業を受け、友達と部活動や学校行事を楽しむ姿。そのため、全日制高校という一般的なルートから外れて通信制高校に転入すると、「普通の子ではなくなってしまうのではないか」と多くの親が心配するようです。
しかし、学校に居場所がなく、無理して全日制高校に通っているようであればそのうち我慢の限界を超えて不登校になるかもしれません。すでに不登校の場合は、「学校に行かなければならない」というプレッシャーと行けないジレンマから不登校が長期化する可能性もあります。
高校は自分のやりたいことや目標を見つけ、将来に向けた準備をする場所です。自分に合わない学校に無理して通っても良いことはありません。全日制高校でも通信制高校でも自分に合っている学校に通うべきですし、子どもに後悔させないためにも親は子どもの選択と通信制高校を理解し、サポートしてあげてください。

通信制高校への転入と編入の違いを理解しよう

転入と編入は似たような語感ですが、大きな違いがあります。まず、転入はある高校に在籍している状態で別の高校に転校することです。空白期間をつくらずに学校を移るので、卒業要件さえ満たせば全日制高校と合わせて3年で卒業を目指せます。
一方、編入は在籍していた学校を辞め、その後、別の学校に入り直すことを指します。編入すると学校を移るまでに空白期間が生じてしまい、「3年継続して在籍する」という卒業要件を満たせないため同級生と卒業時期がずれてしまいます。卒業時期がずれてしまうことは通信制高校への転校を後悔してしまう要因になるので、「転校したい」と思ってもすぐに退学届けを出さず、必ず転入先となる通信制高校の先生に相談してから退学の手続きを踏みましょう。
また、授業料が大きく減額される就学支援金制度は通信制高校でも引き続き適用されます。全日制高校で就学支援金が支給されていた場合は通信制高校でも支給される手続きを行ってください。

通信制高校への転入と編入の違いを理解しよう

通信制高校への転入時の単位引き継ぎの注意点

全日制高校から通信制高校へ転入する時に注意しなければないことがあります。それは、単位の引き継ぎです。全日制高校は年度が終わるまで在籍しなければその年の単位がもらえません。そのため、2年生の12月に辞めたいと思ってもすぐに転入せず、翌年3月まで在籍し、2年生の単位を取りきってから転入した方が通信制高校での単位修得がとてもラクになります。
すぐに転入したい場合は前期期間中(4月~9月)に転入することを目指しましょう。全日制高校は年間で1度ですが、通信制高校は半期に1度単位が修得できます。前期期間中に転入すれば前期の単位と後期の単位をどちらも申請・修得できるため、レポートやスクーリングを頑張れば転入の影響を受けずにその年に取るべき単位をすべて修得できます。逆に、後期に転入すると後期分の単位しか申請できないため、卒業時期が遅くなる可能性があります。
全日制高校から通信制高校へ転入する時は、「全日制高校からきちんと単位を持ってこれるか」という点を意識しておきましょう。

通信制高校への転入時にかかる費用の注意点

通信制高校の場合、公立か私立か、通学かオンラインか、サポート校を併用するかなど、さまざまな条件によって学費の金額が変わります。学費の内訳は、入学金、授業料、施設費、システム管理費など。その中で最も高いのが授業料で、1単位につき7,000~12,000円が相場です。高卒資格を取るには3年間で74単位を取らなければならず、年間で25単位取る場合は「7,000~12,000円×25単位=175,000円~300,000円」が年間で払う授業料となります。
全日制高校に在籍した年数に応じて通信制高校で修得する単位数が変わり、修得する単位数によって授業料の総額が変わります。そのため、「全日制高校から何単位を引き継げるか」は学費に直結する問題となります。転入する際は事前に通信制高校の先生に相談し、「いつ転入すれば、いくつの単位を引き継げるのか、その場合学費はいくらになるのか」を必ず確認しておきましょう。
尚、通信制高校でも全日制高校と同じように就学支援金が適用されます。転入時には単位と共に就学支援金もきちんと引き継がれるよう手続きしてください。

通信制高校へ転入する高1生に知って欲しいこと

通信制高校へ転入する高1生に知って欲しいこと

通信制高校に転入する理由は学年によって異なります。高校1年生の場合は、進学した学校が合わず、不登校になって通信制高校へ転入するケースが多いです。
高校入学から程なくして挫折した経験は心に暗い影を落とし、転入先の学校でも自分らしく振る舞えないことがあります。全日制高校に転校するとクラスメイトの前で自己紹介する光景が一般的ですが、そこでうまく話せないと転入先でもまた不登校になってしまう、という場合もあります。
高校1年生とその保護者に知ってもらいたいことは、通信制高校では「先生が学校に馴染むサポートをしてくれる」ということです。不登校が原因で転入した場合は、先生が活発な子に対して「転校生の子にあなたから自己紹介してあげて」と頼むなど、友達づくりをアシストして不登校の再発を防止しています。中学を卒業して間もない1年生はこうした細やかな配慮が学校に馴染めるかどうかに大きく関わるため、校舎やキャンパスの雰囲気が自分に合っている学校を選び、学校生活や普段の生活で不安なことがあれば通信制高校の先生によく相談してください。

通信制高校へ転入する高2生に知って欲しいこと

通信制高校へ転入する高2生に知って欲しいこと

高校2年生の場合は、「クラス替えで仲の良い友達と離れて話す人がいなくなった」「ちょっとした行き違いやトラブルから人間関係が悪化した」など、友達や先生との間に問題を抱え、それが解決できずに通信制高校へ転入するケースが多いです。また、進学校や中高一貫校では大学受験に向けた勉強が本格化して勉強についていけなくなった、というケースもあります。
全日制高校に1年以上通った経験から通信制高校の環境にはすぐに馴染めるようです。そのため、高校2年生とその保護者に知ってもらいたいことは、「全日制高校から通信制高校にきちんと単位を引き継ぐ」ことです。単位の引き継ぎができなければ同級生と卒業時期がずれてしまい、通信制高校への転入を後悔するかもしれません。また、高校2年生はそろそろ卒業後の進路も意識しはじめる学年です。単位を引き継げるよう転入時期に気を付け、転入後の学習計画や希望の進路についても通信制高校の先生に相談しておきましょう。無理のない学校生活を送れるように転入前から準備しておくことが大切です。

通信制高校へ転入する高3生に知って欲しいこと

通信制高校へ転入する高3生に知って欲しいこと

高校3年生の場合は、進路に関する悩みを抱えて転入するケースが多いです。転校すると少なからず新しい学校に慣れる期間が必要ですが、在籍期間が短く、大学受験を控えている場合は学習時間も確保しなければならないため、転入したいならなるべく早く相談しましょう。
8月頃までは1年間の単位修得が間に合う可能性があり、転入できる学校は多いです。高校3年生とその保護者に知ってもらいたいことは、ただ一つ。転入を考えたら、なるべく早く行動しましょう。転入後の在籍期間は短く、その短い期間で進学や就職など卒業後の進路についても考えなければなりません。転入前から通信制高校の先生としっかり連携を図り、高校の最終学年を充実したものにしてください。

岩田 彰人
教育メディア

株式会社プレマシード

教育メディアクリエイター

岩田 彰人

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