メインメニュー
通信制高校は単位制を採用しているためクラス単位で同じ授業を受けることは少ないですが「クラス」は存在します。毎日登校する人と登校が少ない人ではクラスの意味も変わってきます。そこで、湘南一ツ星高等学院の半田先生に、通信制高校でのクラスの様子や存在意義について解説いただきました。楽しい学校生活を送るための参考にしてください。
通信制高校にもクラスはあります。しかし、「集団としての在り方・動き方」が全日制高校とはまったく違います。
全日制高校の場合、何かを行う時は基本的にクラス単位です。授業を受けるのも、文化祭の出し物を考えるのも、すべてクラス単位で行います。そして、クラス自体は先生たちによって自動的に決められ、進級してクラス替えが行われる時も「この友達と一緒にいたい」「担任はこの先生が良い」と意見を挟むことはできません。
一方、通信制高校の場合はすべての学校にクラスがあるわけではなく、文化祭などの学校行事は全校、またはその都度グループをつくって取り組むことが多いです。ただ、クラスという仕組みを上手く取り入れ、生徒同士や生徒と先生の関係づくりに活かしています。中には生徒が先生を選ぶ形でクラスを決める学校もありますが、先生のもとに同じような価値観をもつ生徒が集まるため、先生は指導しやすく生徒も安心感を得られるようです。
通信制高校のクラスは全日制高校よりもかなり柔軟な枠組みです。「それならクラスなんてなくせば良いのでは?」と思う方がいるかもしれませんが、それでもクラスを設けているのはさまざまなメリットがあるからです。例えば、入学直後は先輩・後輩の縦関係よりもクラスメイトという横関係の方がコミュニケーションを取りやすいです。クラスがあることで生徒同士の交流が活発になり、友達をつくりやすくなるのです。
友達づくり以外にも、クラスによって2つのポジティブな影響が生まれます。
1つ目は学習面です。通信制高校には偏差値がありません。授業も学力に応じたグループや個別で行うため、自分の学力レベルを測るのが難しいです。それでも、クラスがあるおかげで相対的に自分の学力レベルを知ることができますし、お互いを意識することで勉強へのモチベーションも上がります。
2つ目は生活面です。相手のことを知り合えばクラスメイトとしての意識が芽生え、気に掛けるようになります。すると、お互いが気遣えるようになる。自分で選択して入学した高校は中学に比べると仲間意識も強く、人間関係を円滑に築く方法をクラスで学べる、というわけです。
これは不登校の経験があっても同じです。通信制高校には不登校経験者も多く、同じような悩みを抱えていた生徒が集まっています。そのため、生徒同士で相談しやすく、転入生に対しても在校生が積極的に話しかけています。時には、先生や大人の100の言葉よりクラスメイトの1つの言葉の方が響く場合がありますし、全日制高校のように絶対的なものではなく、複数ある居場所の一つとしてクラスを捉えてください。
過去に人間関係のトラブルから学校に行けなくなったような経験があると、「また友達ができるだろうか?」と不安になるはずです。実際、入学前の個別相談会などでは「友達をつくる上で学校側のサポートがあるか?」といった質問をよく受けます。友達ができるだろうかと不安になるということは、過去にトラブルがあったとしても「もう一度友達をつくりたい」という気持ちがあるということです。そして、あなたと同じようにほとんどの生徒が「通信制高校で友達をつくりたい」と思っています。みんなが友達をつくりたいと考えているので、友達ができないはずがありません。通信制高校では同じものが好きな生徒や興味が似ている生徒でグループをつくるなど、先生たちが友達づくりを全力でサポートしているので安心して入学してください。
最後に、一つだけ注意点を挙げるなら学校のパンフレットやホームページだけでは学校のすべてはわからない、ということです。個別相談会やオープンキャンパスに参加して、必ず自分の目で学校を見てから入学するか決めてください。校舎を見学すれば在籍している生徒の様子や雰囲気もわかります。3年間しかない高校生活で後悔しないよう、できれば複数の学校を見学し、総合的に入学したい学校を決めてください。