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近年、メタバースという言葉を聞くことが増えてきました。メタバースとは「インターネット上に構築された3Dの仮想空間」のことです。ユーザーは自分の分身であるアバターを操作して仮想空間を自由に動き回ったり、他の人とコミュニケーションを図ることができます。
とはいえ、まだまだ新しい技術なのでメタバースが何に使われているのか、どのような仕事があるのかはわからない、という方も多いはず。そこで、2024年4月に「メタバース工学科」を新設した日本航空高等学校の野村先生に詳しくお話しを伺います。
メタバースとはインターネット上に設けた仮想空間のことです。アバターを操作して自分好みのアイテムを着用したり、空間内を自由に散策できるため、現在はゲーム分野で多く活用されています。有名なのは『どうぶつの森』や『マインクラフト』などです。
ただ、メタバースはさまざまな分野に急速に広がっています。仮想空間だからこそ日本全国から参加できるメリットを活かして会社説明会や住宅展示場にも利用され、地方自治体はメタバースを使った町おこしに積極的に取り組んでいます。
例えば、甲府市では地域のPRとして「お城の跡地をメタバースで巡る」プロジェクトがあり、メタバース内でお城にまつわることを紹介し、興味を持ってもらおうと企画しています。日本航空高校のメタバース工学科でも将来的には自治体や企業と連携し、各自治体のメタバース空間を制作することで地方創生や地域活性化に貢献し、生徒に実践的な学びの場を提供していく予定です。
総務省の動向調査でも、メタバース市場は今後右肩上がりで伸びていきます。プラットフォームやコンテンツ、機器などをすべて含めた日本のメタバース市場は2023年度には2,851億円の見込みでしたが、2027年度には2兆円にまで拡大し、世界では2030年に70兆円(5,000億ドル)規模になると予測されています。
世界に比べて市場規模で遅れを取っているのは、日本のメタバース人材が不足しているからです。この人材不足に対応するため東京大学では「メタバース工学部」が誕生し、最先端のテクノロジーを活用できる人材育成を進めています。さらに、専門学校でもメタバースクリエイターをはじめとするデジタル人材の育成に力を入れています。
メタバース市場は急拡大していくと見込まれているため人材育成が急務となっており、早くからメタバースを学んでおけば将来的に大きな強みになるはずです。
メタバースが学べる通信制高校では、専門学校で学ぶ技術を高校生のうちから学べます。ITの基礎知識やプログラミング、デザイン、AI、そしてメタバースについて教わり、知識を身に付ければ資格や検定も取れます。卒業後の進路もメタバースクリエイターの他、ゲームやCGクリエイター、開発エンジニアなど多彩な道があり、自分の興味がある職業を目指せます。もちろん、大学や専門学校でさらに学びを深めるのも良いでしょう。
アメリカでは中学生のうちに起業してメタバースで数億円稼ぐ学生もいるようで、通信制高校なら起業して自分のアイデアを形にすることも可能です。発展途上で可能性に満ちた市場だからこそ、生徒たちにも自分の可能性を追ってほしいと考えています。
メタバースを学ぶ上で1つだけ知っておいてほしいことがあります。それは、「リアルを知らないと仮想空間は作れない」ということです。メタバースで森を作ろうとしても、実際の森を知らなければ表現できません。
そのため、通信制高校でメタバースを学ぶなら実習の時間も大切です。普段はオンラインで学んでいても、実習で森を散策して新しい気付きを得ることでメタバースの世界はより興味深いものになるでしょう。
30年後や40年後の未来なんて誰にもわかりません。確実なのは、技術が進歩し、さまざまなことがいまと変わっているはずだということです。そう考えると、従来の教育をこれまで通りに提供していては未来に取り残される人材を増やすだけかもしれません。 いま小学生や中学生の生徒は、ゲームやアプリで自分のアバターを作ったことが一度はあると思います。でも、どのような分野でも「使う側」と「作る側」はまったく違うものです。最先端のテクノロジーを駆使できる人材はこれからますます求められるようになるので、何十年先を見据えて将来に対応できる力や考える力を身に付けてください。
子どもは未来を創っていく存在です。どうか自分たちの手でより良い未来にできるよう、最先端の技術を学び、最先端で生きていってください。
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