サポート校のこれまでとこれから

PICKUP サポート校 多様化

サポート校のこれまでの役割

サポート校はもともと、通信制高校での学びをサポートする「補習校」として誕生しました。つまり、通信制高校専用の塾や予備校といった位置づけです。予備校や塾は大学進学向けに、専門学校は職業教育向けに、それぞれサポート校を設立した経緯があります。その後、eスポーツやプログラミング、企業教育など、より専門性が高いコースが設置され、好奇心を育てる場として独自の進化を遂げました。

最近では、サポート校のように専門性が高い選択コースを設置する通信制高校が増えているため、その点では大きな違いはありません。ただし、サポート校のなかには、高校の学習のほかに小中の学習内容を学び直せるといった手厚いサポートを提供しているところもあります。そのため、手厚いサポートを受けたい方たちに選ばれています。

サポート校のこれまでの役割

サポート校の現況と課題

サポート校は、一条校ではないからこそ、自由度が高い特徴があります。一条校とは、学校教育法第1条で定められている学校のことで、小学校・中学校・高等学校・中等教育学校・大学・専門学校・特別支援学校・盲学校・ろう学校のことを指します。自由度が高い分、生徒は自分の学びたいことや将来のことなど、自己理解を深めるために使える時間がたくさんあります。時間があることで、先生方も卒業後に生き抜く力をつける教育に本気で打ち込める。これが、サポート校の魅力です。

サポート校の場合、サテライト施設や校舎など自治体の認可なく設置できたことから、全国各地に広がっています。そのおかげで、日本全国さまざまな場所でサポートを受けられるようになってきました。ただし、一条校がそれらの施設を物理的に把握しきれなくなっているという指摘もあります。

サポート校のこれから

サポート校のこれから

令和3年3月、文部科学省が策定した「※高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドライン」(以下、ガイドライン)が改訂され、「高校卒業資格をとるためのサポートも通信制高校単体で当然行うべき」との通達がありました。通信制高校は、これまでサポート校が行ってきたサポートを自分たちで行うようになっています。その結果、通信制高校本体の教育の質が底上げされています。

また、ガイドラインでは、サポート校をはじめとする通信教育連携協力施設の設置について、学則に記載することも明示しました。学則とは、それぞれの学校が定める組織や運営上の規則です。つまり「通信制高校が、サポート校の管理・管轄を行うこと」が求められています。

こうした流れを受けて、通信制高校は卒業資格をとるためのサポートを強化し、サポート校はプラスアルファで学びたいことや学び直しに力を入れるというように、機能分化していくはずです。

たとえば、興味のある分野をとことん追究したり、学びたいことを見つけ出したりと、サポート校は、その子の学びを突き詰めていくことに特化できる可能性を秘めています。このように、サポート校は「その子に合った教育」を手厚くサポートする方向に進化していくでしょう。

※高等学校の質の確保・向上(文部科学省)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kaikaku/1403642.htm

上木原 孝伸
サポート校

ベネッセの通信制サポート校 Be高等学院

学院長

上木原 孝伸

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