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通信制高校と全日制高校には、それぞれメリットとデメリットがあります。どちらが自分に合うかは、学習面、進学・就職、学校生活などを比較検討することが大切です。ここでは麗澤高等学校の山本先生に通信制高校と全日制高校を比較した際のメリット、デメリットを解説していただきました。
通信制高校について検索すると、ネット上では「進学や就職が不利になる」「入学(転入)を後悔する」「周囲から偏見を持たれる」「親の気持ちは?」といった意見が見受けられます。このような意見が並ぶのは、「全日制高校に通うのが当たり前」と思われているからでしょう。
しかし、通信制高校にも全日制高校にもそれぞれメリットとデメリットがあります。そもそもメリットとデメリットは表裏一体であり、例えば「学校が繁華街にある」という一つをとっても、ある生徒は「放課後に遊びに行きやすい」と捉えるでしょうし、別の生徒は「家からの通学時間が長い」と感じるかもしれません。
通信制高校と全日制高校の比較においても、こちらが優れている、あちらは劣っている、というものではないので、ネットの意見に振る舞わされるより「どちらの学校が自分に合っているか」「自分が一番成長できる場はどちらか」という基準で選ぶべきです。以上を踏まえた上で、通信制高校と全日制高校を比べてみましょう。
それでは、学習面、進学・就職、学校生活について順番に比較してみましょう。
まず、学習量(授業の時間)は通信制高校の方が圧倒的に少ないです。その変わり、自由な時間は通信制高校が多いです。学習量が少ないと大学受験対策で不安があるでしょうが、学校における学習量の少なさは塾や予備校で補えます。早めに志望大学や学部を決めれば受験科目を集中して勉強できるカリキュラムを組めますし、通信制高校でも受験対策に特化した学習プログラムを用意している場合がありますので、色々な学校を調べてみましょう。
また、全日制高校の場合はクラスで授業を受けるため、みんなが同じスピードで同じ内容を学びます。しかし、通信制高校は何を勉強するか自分で組み立てる必要があるので自主自立が求められます。高校生活を通して自己管理能力が身に付くのも通信制高校ならではの特徴と言えるでしょう。仮に学習内容が偏ったとしても、いまは強みや得意なことを持つ一点突破型の人材が活躍する時代ですし、高校時代に強みを磨けば大学受験の総合型選抜にも活きてきます。
「通信制高校だと大学受験で不利になるのでは…?」というイメージを抱いてる方が多いかもしれませんが、一般入試の場合はあくまで成績で判断されるため、通信制高校への在籍がマイナスに働くことはありません。
就職の場合も基本的には同様ですが、履歴書に通信制高校と記載していることを気にするかどうかは企業次第です。
全日制高校と比べて、学校生活における最も大きな違いは部活動です。通信制高校には部活動がない学校もあります。運動系の部活動では全日制大会(高校体育連盟 等)への出場については競技によって制限のある場合とない場合がありますので確認が必要です(例:高野連主催の大会は通信制高校も出場できるので、野球部は甲子園大会および予選に参加可能)。
一方、通信制高校の部活動については、全国高等学校定時制通信制体育大会(定通大会)というものがあります。
尚、競技によっては規定が異なる場合がありますので、自身で確認してみてください。
通信制高校に入学する際はいろいろな学校を比較して検討しましょう。通信制高校は学校ごとにさまざまな特色があるので、「名前を聞いたことがある」「家の近所にあるから」という理由で選ぶと入学後に後悔することになるかもしれません。できれば実際に足を運び、キャンパスの雰囲気や在校生の様子を自分で確かめてください。
そして、どの学校に入学するかは必ず生徒本人が最終的な決断を下しましょう。高校は義務教育ではないので、入学先を自分で選ぶことで単位の取得や卒業に対する責任感も生まれます。とはいえ、学費の支払いなど金銭面では保護者の助けが必要なので、保護者とも相談した上で自分に合っている学校を選んでください。麗澤高校では入学前に個別相談会を開き、必ず親子で来校してもらっています。生徒だけ、保護者だけで見学するより、親子で一緒に見学した方がさまざまな視点からその学校の良さを感じ取れ、理解が深まるからです。
最後に、保護者の方にお願いしたいことが1つあります。もし学校選びで生徒と保護者の意見が異なった時は、どこかで折り合いをつけて生徒の意見を尊重してあげてください。「親や先生に勧められたから」という理由では、せっかく環境が変わったのに消極的な姿勢で新しい学校生活を迎えることになります。それよりも「自分でこの学校を選んだ」という前向きな姿勢をつくってあげることが大切です。