全日制高校と比較した通信制高校のメリット、デメリット

通信制高校への入学を検討すると、メリットと同時にデメリットも多く目にすることがあるでしょう。全日制が良くて通信制は悪い、またはその逆ということは無く、生徒一人ひとりの状況によって異なるということは理解しておくべきです。ここでは聖望学園高等学校の表先生に通信制高校のメリットとデメリットを全日制高校と比較して解説していただきました。

いつでも登校でき、どこでも勉強できる。通信制高校は「時間」と「場所」のメリットが大きい

通信制高校には多くのメリットがあります。全日制高校と比較すると違いやメリットがわかりやすいので、ここで一つひとつ見ていきましょう。

• ①自分の好きなことができる

  全日制高校は毎日登校してクラスで授業を受けます。一方、通信制高校は単位取得に必要な授業数やレポートに関わる時間が最低限で済みます。自分で選べるので、空いた時間に自分の好きなことをできます。芸能活動におけるドラマ撮影やオーディション、スポーツの大会やツアーなど、長期的に通学できない場合でも留年しませんし、卒業に必要な単位を取れば３年で卒業できます。

• ②不登校の改善を目指せる

  人間関係のトラブルや起立性調節障害など、何かしらの理由で不登校になったとしても自分のペースで登校を再開でき、少しずつ状況の改善を目指せます。起立性調節障害の場合、「朝起きて学校に行くのは難しいけれど昼からなら登校できる」という生徒もいるので、自分の体調と相談しながら登校するか決められます。全日制高校ではカリキュラムが決まっていますし、このように柔軟に対応するのはなかなか難しいでしょう。

• ③ICT教育が充実している

  動画授業やオンライン授業など、通信制高校では登校しなくても学習できる環境が整っています。聖望学園でもiPadを支給し、遠隔で授業に参加することが可能です。登校コースしかない通信制高校では少し異なるかもしれませんが、ネットコースを設けている学校ならICT教育の環境が手厚く整備され、毎日登校することが前提の全日制高校より遥かに充実しているでしょう。

いま挙げた３点は通信制高校における代表的なメリットです。一方、通信制高校に入学するデメリットもあります。それは世間体です。世間から白い目で見られるというよりは、「世間には通信制高校への偏見があるはず」という思い込みから「通常のルートから外れたことで問題を抱えている生徒と思われるだろうか」と無用なプレッシャーを感じてしまう場合があるようです。

通信制高校は生徒一人ひとりの状況に応じたカリキュラムやサポートを用意できる

通信制高校が多くの生徒に選ばれている理由は、自由度の高さや学習環境といった全員に波及するものだけではなく、生徒一人ひとりの状況に応じた学習カリキュラムやサポートを用意しているからです。勉強面では中学校からの学び直しができますし、サポート面ではスクールカウンセラーが常駐して生徒の居場所づくりに取り組んでいる学校も少なくありません。聖望学園では高校には珍しい適応指導教室も用意しています。
注意点があるとすれば、全日制高校から転入・編入する時です。全日制高校は１年終えるごとに単位を取得できるので、転入・編入する時期によっては取れるはずの単位が取れなくなってしまいます。単位については転校先となる通信制高校に事前に相談しましょう。

学校生活や進路についても、通信制高校と全日制高校は同じ

通信制高校でも全日制高校と同じ学校生活を送れます。文化祭や修学旅行のような学校行事も楽しめますし、参加は自由です。聖望学園は全日制高校も運営しているので、全日制と通信制の生徒が交流できるイベントも行っています。
一つ大きな懸念があるとすれば、卒業後の進路です。聖望学園の全日制高校では大学への指定校推薦の枠が900ほどあります。通信制課程にも複数の枠を確保していますが、全日制高校と比べるとやはり少なくなるでしょう。ただ、一般入試や総合型選抜では全日制と通信制に差はありません。聖望学園には「特進コース」のような進学専門コースがあり、通信制課程の生徒も全日制の生徒と同じ内容の授業を学べる仕組みを整えています。
通信制高校は全日制高校といろいろな部分が異なるので入学を迷う生徒もいるかもしれませんが、メリットとデメリットを比べ、メリットが大きいと判断できたらぜひ通信制高校に入学してほしいです。

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