メインメニュー
文化祭や体育祭、修学旅行などの学校行事は通信制高校によって有無や内容が異なります。文化祭は実施している学校が多く、学校の特徴が反映されていることが多いです。湘南一ツ星高等学院の木内先生に、通信制高校における文化祭の意義や内容、楽しみ方などについてお話を伺いました。
通信制高校と全日制高校では学校行事である文化祭も大きく違います。
全日制高校の場合、文化祭のテーマやコンセプト、ルールなどはある程度固定化され、それが各学校の伝統となっています。学校の伝統を積み上げていくという観点では素晴らしいですが、「今年は例年と違ってこういうコンセプトで文化祭をつくろう」と抜本的に変えたり、一人ひとりの意見や個性を反映するのは難しいです。また、基本的にはクラスの全員が参加しなければならず、「1年2組はお化け屋敷」「2年3組は喫茶店」と決まれば全員でその出し物をつくりあげます。
しかし、通信制高校の場合は生徒が自分たちで毎年コンセプトを決めています。湘南一ツ星高等学院では、過去には、「室内でのキャンプ場」や「メイドカフェ」。また別の年度では、「韓国風焼肉屋」や「神社の境内」「ライブハウス」など、まったく違うコンセプトで文化祭を開催してきました。また、クラス単位で動く必要もなく、参加は自由です。何かやりたいことがあれば、やりたい人と一緒にグループを組んで取り組めます。コンセプトから展示や出し物の内容、参加するかどうかまで通信制高校の文化祭は徹底的に生徒主体で進みます。生徒たちの自主性を重んじているからこそ、「やる」と決めた生徒は全力で取り組んでくれるのも通信制高校の特徴です。
全日制高校も通信制高校も、文化祭を開催する目的は「生徒の文化的な取り組みを学校内外に向けて発信する」ことだと思います。ただ、通信制高校ではそうした本来の目的に加えて「生徒がイキイキ楽しんでいる」「文化祭を通して生徒が成長する」という2点に大きな意義を見出しています。
生徒主体で進めるため準備をはじめた当初はモチベーションに差がありますが、自由度が高いので真剣に取り組む生徒はどんどんアイデアを出してカタチにしていきます。すると、乗り気ではなかった生徒も「それならやってみようかな」と次第に参加しはじめるのです。その結果、自由参加のはずだった文化祭に全員が何かしらの役割をもって参加することになります。実行委員になれば集客にも携わり、地域の人に文化祭で使えるチケットを販売することもあります。
また、好きなことや得意なことがある生徒にとっては、文化祭は「成果を発表する場」にもなります。ダンスや文化系の部活動をしている生徒は文化祭に向けて練習し、生徒だけではなく文化祭を見に来てくれた地域の人たちにも練習の成果を披露できる。生徒に自主性を与え、学校が「場」を整えれば、生徒はどんどん成長していきます。教育的意義も見出せるため私たちは文化祭をとても大切にしているのです。
「文化祭は自分たちもの」と生徒に意識させることで、生徒は全力で準備して楽しむようになります。すると、時には生徒間に意見の相違が出ることもあります。でも、お互いが「より良い文化祭をつくろう」と思っているので「なぜそう思うのか」という理由さえわかれば協力しますし、先生はそうしたフォローを行っています。
ただ、これだけ文化祭に力を入れて生徒主体で進められるのは通信制高校だからです。通信制高校の中にはカリキュラムに文化祭の準備を盛り込んでいる学校もありますが、カリキュラムが決まっている全日制高校ではなかなかそこまでできないでしょう。
通信制高校は多様化しているので、学校情報だけを見比べるとどの学校が自分に合っているのか悩んでしまうと思います。そんな時は、「高校生活で何を楽しみたいか、何を重視したいか」という観点から学校を選んでみてください。学校生活や青春を楽しみたい、友達づくりや人間関係を大切にしたい、と考えているなら、文化祭などの学校行事に力を入れている学校が向いているかもしれません。