通信制高校の現実。普通の子がポジティブな理由で入学する理由とは。

PICKUP 通信制高校 現実

通信制高校を取り巻く環境は大きく変化し、生徒数は年々増加しています。過去には「通信制高校に通うと人生終わりだ」というネガティブな印象があったかもしれません。しかし、コロナ禍の臨時休校で無理して学校に行かなくても良いという価値観が生まれ、不登校だった生徒が通信制高校から大学に進学するケースも増え、中学卒業後の進路に通信制高校を選択することが一般的になってきました。親としては「将来的に本人が後悔するのではないか」と不安かもしれませんが、いまの状況を辛いと感じているなら通信制高校を前向きに検討してはいかがでしょうか。

中学では不登校が、全日制高校では退学者が増加。通信制高校はその受け皿となっている

中学では不登校が、全日制高校では退学者が増加。通信制高校はその受け皿となっている

近年、通信制高校を取り巻く環境は大きく変わりました。最も大きな変化は年々生徒数が増えていることです。これまでほとんどの子どもたちは義務教育である中学校は必ず行かなければならないものと捉えていましたが、コロナ禍で全国一斉の臨時休業を経験し、「無理して行かなくても良いもの」になってしまいました。その結果、不登校の中学生が増え、高校進学時に全日制高校ではなく通信制高校を選ぶようになってきているのではないかと感じています。

また、全日制高校では退学者が増えています。退学理由として最近特に多くなったと感じるのが、SNSが絡んだ友人関係のトラブルです。学校では普通に話すのにSNSで陰口を言われたり、SNSで積極的に発信したら大きな波紋を呼んで居づらくなったり、SNS関連のトラブルが増加しているようです。当事者ではなくとも、傍で見聞きすることに耐えられず転校した生徒もいるほど。そうした中高生に対して、集団でいることを強要されない通信制高校が受け皿となっています。

新入生は学校に慣れることを、出身高校がバラバラの転入生は個別指導でサポート

新入生は学校に慣れることを、出身高校がバラバラの転入生は個別指導でサポート

不登校や退学の経験があるからといって、生徒は学校に通いたくないわけではありません。通信制高校の認知度が高まり、いままでは我慢していた子どもたちが自分らしく過ごせる環境を求めるようになったと言えるでしょう。

その通信制高校では、新入生と転入生によってサポートの仕方が異なります。新入生はそもそも全日制高校に入学しようと思わなかった生徒で、小学校や中学校で不登校だったケースが大半です。そのため、登校や集団生活に慣れてもらうことからスタートする場合も多く、基礎学力が身に付いていなければさかのぼった学習支援を行っています。一方、転入生は学力や目指す卒業後の進路が様々であるため、生徒一人ひとりに会わせた個別指導が中心となるでしょう。ただ、どちらの場合も生徒たちは「変わりたい」と思って通信制高校を選んでいるため、前向きな、もしくはフラットな気持ちで入学している点は共通しています。

通信制高校の「教育の質」が高まり、進学や就職を見据えて指導

通信制高校の「教育の質」が高まり、進学や就職を見据えて指導

通信制高校だと進学で不利になるのかと聞かれますが、特に不利にはなりません。大学や専門学校の面接では「なぜ通信制高校を選んだの?」と質問される場合が多いです。学校側もどういう生徒か知りたいだけですし、理由をきちんと答えることができればむしろプラスに働きます。その証拠として、毎年多くの生徒が推薦で大学に合格しています。また、全日制高校より自由に使える時間が多いため、一般選抜で難関校に見事合格する生徒もいます。通信制高校で勉強や部活動、委員会などを頑張ったと自信を持って言えるよう、一つひとつ経験を積んでいきましょう。

一昔前と比べると、通信制高校は進化し続けています。通信制高校の仕組みを活用してさまざまな学校が生まれ、教育の質を問われる機会も増えました。教員同士でも常にレポートの中身を協議し、知識の習得と共に思考力の向上につながるような問題を増やして生徒の成長を促しています。全日制であろうと通信制であろうと、いまや高校卒業は当たり前。だからこそ生徒の将来を見据えて進学や就職といった卒業後の進路決定率を上げようと力を入れています。どのような高校に通っていたのかは、人生においてただの通過点でしかありません。もし、全日制高校に通うことを躊躇していたり、今いる学校がつらいと感じるなら、ぜひ通信制高校で前向きに過ごしてはいかがでしょうか。

熊崎 沙彩
通信制高校

鹿島学園高等学校 川崎キャンパス

キャンパス長 国語科教論

熊崎 沙彩

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