通信制高校に行くと人生終わり?そう考えているのは生徒ではなく親だった

PICKUP 通信制高校 人生終わり

子どもが不登校になり、全日制高校ではなく通信制高校への入学を検討されている保護者の方の中には、通信制高校に通ったら普通の子ではなくなる、大学進学が難しいだけではなく後悔する時がくるかもしれない、と悲観的になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。ずるい、しんどいなどのデメリットが強調された情報に惑わされるのではなく、目の前にいる子どもと向き合い、将来に向けて現実的に何をするべきかを一緒に考えてあげてください。ID学園高等学校の後嵩西美香先生から心が楽になるアドバイスをいただきました。

不登校になると、通信制高校に通うと、もう「普通の子」には戻れない!?

不登校になると、通信制高校に通うと、もう「普通の子」には戻れない!?

子どもが不登校になると、「この子の将来はどうなるのだろうか」と保護者は心配になるはずです。これは親の気持ちとしては当然のものだと思います。ただ、個別相談会などで不登校生の保護者と話すと、多くの保護者が通信制高校に入学することに対して「もう普通の子のように高校生活を楽しめないのだろう」という諦めにも似た感情を抱いており、その背景には「普通の子ではなくなることを認めたくない」という想いがあるからだと感じています。

「お母さんの考えている普通の子とは、どんな生徒ですか?」と聞くと、「全日制高校に毎日元気に登校し、部活動に取り組み、高校生活を満喫している生徒」という答えが返ってきます。これはほとんどの保護者が抱いている理想の高校生像と言っていいでしょう。そして、理想像と不登校という現実のギャップに苦しんでいます。私はこれまでの経験から、この苦しみの原因は①いまの通信制高校への認識不足と②親子間のコミュニケーション不足によるものが多いと考えています。

直接言葉を交わさなくても、生まれてからずっと育ててきたのだから子どものことは一番良くわかっているという想いがあるはずです。でも、果たして本当にそうだろうかと一度振り返ってみてください。子どもがやりたいことは何か、何をやりたくないのか、希望を把握することから改めてコミュニケーションを図り、その希望はどの学校なら叶うのか考えてみてください。

いまの通信制高校は、全日制高校と同じように青春を謳歌できる

通信制高校への入学を検討している保護者は、以下のような不安を抱えています。

保護者の不安
  • ・メンタルや学習面のサポートはあるか。
  • ・高校生活を楽しめるか。
  • ・高校を卒業できるのか。大学進学は可能なのか。

これらは子どもの将来に対する焦りから生じており、通信制高校を知ることでそのほとんどは解消されます。

いまの通信制高校は、全日制高校と同じように青春を謳歌できる

通信制高校には不登校問題に詳しい教員やスクールカウンセラーが在籍しているので、メンタルや体調の様子を見ながら生徒自身のペースで通えます。部活動や文化祭などの学校行事もあり、全日制高校と同じような青春が送れます。そして実際にキャンパスを訪れると、普通の子が高校生活を楽しんでいる様子を見ることができます。特にキャンパスにはみんなでワイワイと話している生徒もいれば一人で過ごす生徒もいて、誰かに何かを強要されることは一切ありません。これは、生徒の大半が不登校経験者だからです。誰もが何かしらの事情を抱えていると理解しているからこそ、適切なタイミングと距離感でコミュニケーションを深めていっています。学校内のこうした雰囲気に惹かれる生徒も多いため、保護者は子どもの様子や状況から最適な通信制高校選びをアシストしてください。

10代の不登校や引きこもりは全く問題なし。将来に向けて、いま動き出そう

10代の不登校や引きこもりは全く問題なし。将来に向けて、いま動き出そう

現在、30~50代の引きこもりが社会問題になっています。ずっと家に引きこもりだった人が、急に働きだすのは非常にハードルが高いです。将来、30代や40代で引きこもってしまうより、いまのうちに生徒のやりたいことを尊重し、社会に出るために必要なことを養っておくべきではないでしょうか。そのためには生徒に保護者の理想を押し付けてはいけません

また、一昔前に比べると父親の関与は増えているものの、個人的にはいまだ多くの家庭が子どもの教育を母親に任せているように感じられます。通信制高校の情報も良く調べているのはきまって母親、父親は通信制高校に大きな偏見を持っている場合も見受けられます。進学校から転入する場合などはどうしても周囲の目が気になるかもしれませんが、周囲の目よりも生徒たちの学びたいことやペースを大切にしてあげましょう。

週5日通える子もいれば、週1日通うのもキツイと感じる子がいます。通信制高校は生徒一人ひとりに応じて通学スタイルやカリキュラムをカスタマイズできるので、全日制高校では当たり前にあった枠を外してあげることで途端にイキイキする生徒がいます。子どもたちの将来を見据え、いまするべきことを考えましょう。 

後嵩西 美香
通信制高校

ID学園高等学校

養護教諭

後嵩西 美香

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