中学不登校から高校受験を突破するために必要なこと

PICKUP 不登校 中学生

中学校で不登校のお子さんを持つ保護者は、高校受験がどうなるのか、不登校でも行ける公立はあるのか、出席日数が不足していないかなど、様々なことが不安になるのではないのでしょうか。キズキ共育塾の半村様に不登校の中学生がどのように高校を選ぶことがよいのか、都道府県により高校受験の傾向に違いがあるのかをお伺いしました。

全日制高校、通信制高校、定時制高校、どの学校なら続けられるか考えよう

全日制高校、通信制高校、定時制高校、どの学校なら続けられるか考えよう

中学で不登校になり学校にほとんど行けていなくても、全日制高校への進学を考えるお子さんは多いです。「やっぱり『普通』の高校に行きたい」と思うのは当たり前かもしれません。個人的には、「不登校の経験があるなら、通信制高校や定時制高校にするべき」とは思いません。自分が目指すものがあるなら、それに向かって頑張ってみることは、とても良いことだと思うからです。そして、全日制高校への合格をきっかけに不登校からも脱却するお子さんを何人も見てきました。
ただ、中学で不登校になったお子さん全員がこのケースに該当するわけではありません。全日制高校に入学しても、結局学校に馴染めず通信制高校に転入する例もあります。入学後に高校生活を継続できるか考え、受験勉強を進めながら、全日制高校や通信制高校、定時制高校のどこがベストな選択なのか考えてみてください。

全日制高校の受験では、調査書の見方や不登校枠は都道府県ごとに異なる

全日制高校の受験では、調査書の見方や不登校枠は都道府県ごとに異なる

特に「公立の全日制高校」の受験の仕組みは都道府県ごとに異なり、さまざまな地域差があります。
1つ目は、「調査書の審査方法」です。中学3年次の調査書しか審査しない地域もあれば、中学2年~3年次の調査書を総合的に考慮する地域もあります。中学3年次の調査書しか審査しない地域であれば、例えば中学2年の時に不登校になっていたとしても受験で不利になることはありません。

2つ目は「不登校枠※」です。(※不登校枠とは「欠席日数が多い理由を説明できる機会を得て、理由に配慮して合格の確率が上がる可能性がある制度」のことです。)
この制度は、地域によって大きな違いがあります。
例えば愛知県では、不登校枠の対象となる高校がとても多く、所定の手続きをとれば、不登校経験があってもすべての県立高校を受験できます。しかし、「不登校だったお子さんを何人合格させる」とはどの学校も公表していません。ですので実際に不登校経験者が何人入学しているのかは分かりません。

一方、京都府ではいくつかの学校で「長期欠席者の特別入試」を実施しており、募集人数と合格人数を公表しています。
なお、不登校枠で全日制高校に入学しても、特別扱いされることはありません。これを「みんなと同じように扱ってくれる」と捉えるか、「サポートが足りない」と捉えるかは本人と保護者次第です。
ただ、「不登校経験があるのだからもっとサポートしてほしい」と感じるようであれば、全日制高校よりも通信制高校への入学を検討した方が良いかもしれません。

通信制高校は不登校経験者に向いていることがある

続いて、特に不登校経験者にとっての通信制高校についてのメリットなどを説明します。
通信制高校やサポート校※が優れている点は、入学後の高校生活だけではなく、面接の段階からお子さんに配慮してくれることです。(※サポート校とは、通信制高校のお子さんのための、学習指導をはじめとした様々なサポートを行う、学習塾のようなところのことです。)
全日制高校の受験でも、面接がある場合、出席日数が少ないことについて質問されることがあります。そこでは、「なぜ学校に通わなくなったのか」など、あまり答えたくない質問をされる可能性があります。高校側は知っておきたい、でも受験生は話したくない、という構図が生まれるのです。
その点、通信制高校やサポート校は不登校を経験したお子さんに寄り添ってくれるため、答えたくないような質問はされませんし、心身のコンディションが不安定な状態でも受け入れてくれます。入学後も興味のある科目や単元から勉強できますし、アルバイトなどもしやすい高校が多いので、学校とは異なる環境に身を置いて成長しやすい面があります。
通信制高校やサポート校に入学することで心身が安定するお子さんは非常に多いです。

通信制高校を選ぶ時は「続けやすさ」と「通いやすさ」を重視しよう

通信制高校を選ぶ時は「続けやすさ」と「通いやすさ」を重視しよう

中学で不登校になった人が通信制高校を選ぶ際のポイントは、「続けやすさ」と「通いやすさ」です。「続けやすさ」については、例えば「スクーリング日(登校日)を週1日から週5日までの間でスムーズに切り替えられる学校」なら、自分の体調に合わせて登校日数を増やしたり減らしたりできます。
また、興味は移ろうものなので、「最初は声優コースに興味があったけど、いまはプログラミングコースに興味が変わった」となったときに、コース移動もできる学校なら通い続けることができるはずです。

もう一つの「通いやすさ」とは、家から学校(スクーリング会場)までの時間、距離、通学方法、電車やバスなら乗り換え回数やラッシュアワーの込み具合などのことです。毎朝ギュウギュウの満員電車に長時間乗らなければならないと聞くと大人でもうんざりします。
単位の取得にはスクーリングが不可欠です。スクーリング会場の場所や形式(学校に行くのか、合宿形式なのかなど)も事前に確かめておきましょう。
また、学校に通いたくなる要素としては、学校のある地域の雰囲気も大切です。個別相談会などに参加した際に、地域の様子も確認してください。

その他には、学校生活を重視するなら部活動や同好会などの有無、大学や専門学校への進学も視野に入れているなら(推薦)入試対策を行っているか、大学への推薦枠を豊富にもらえている高校かどうか、これらの点を確認して自分の希望と合致する学校を選んでください。

半村 進
サポート校

キズキ共育塾(株式会社キズキ)

専門相談員

半村 進

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