『通信制高校 親の気持ち』を親子の視点で考える

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通信制高校への入学を考える親の気持ち

子どもから「通信制高校に行きたい」と言われた時、親心として反対したくなるのではないでしょうか。ほとんどの保護者は「自分も経験した“普通の高校生活”を送って欲しい」と思うでしょう。それは、通信制高校に良いイメージがなく、社会人をはじめ元気でやんちゃな生徒が通う学校という自分が高校生だった頃の印象が残っていて、「そんな学校に入って本当にやっていけるのだろうか、大丈夫だろうか」と心配になるのではないでしょうか。 しかし、いまの通信制高校は以前と比べると大きく変わりました。高卒資格を取るために効率的に学び、その上で自由な時間を使ってスポーツ、芸術、音楽、留学など自分のやりたいことに挑戦できます。生徒一人ひとりに向き合う手厚いサポート体制も整っているので、中学や高校で不登校になりながらも「もう一度学校に行きたい」と思っている生徒もリスタートしやすい環境です。 子どもの頃は学校で過ごす時間が1日の大部分を占めるため、通っている学校が自分に合わなかったり、人間関係に問題を抱えているのはとても辛い状況です。親子で話し、子どもにとって一番良い学校を選んでください。

通信制高校に通うには普通の子?世間の目が気になる保護者の方へ

通信制高校に通うには普通の子?世間の目が気になる保護者の方へ

「通信制高校に通うのは普通じゃないのかな?」と思っても仕方ない部分はあります。週5日登校するコースでなければ毎朝学校に行く必要はありませんし、クラスメイトと一緒に授業を受けることもありません。登校日数や登校時間、学習方法が全日制高校とは大きく異なっているからです。そのため、制服がない学校や私服で登校できる場合だと、「昼間から私服でウロウロしていると思われるのではないか…」と気になるかもしれません。特に、生徒本人は同級生の目が、親は世間体が気になってしまうでしょう。
しかし、普通の子とはどんな子でしょうか。毎日元気に学校に通い、友達をたくさんつくり、部活動を頑張り、高校生活を楽しく過ごすような子でしょうか。それは、普通の子というよりほとんど理想の子です。思春期という多感ゆえに不安定でもある時期にはちょっとしたことで躓いてしまい、人間関係や体調が不調になり不登校になる生徒も増え続けています。
そんな状態を続けるよりは、全日制高校から通信制高校に環境を変え、解決の道筋をつけるべきです。無理のない範囲で学校に通い出し、いつの間にか毎日登校できるようになっていたという事例は幾らでもあります。環境を変えた方が良いと思ったら、やりたいことがあるなら、世間の目を気にするよりも通信制高校で話を聞くことをオススメします。登下校中に同級生と会いたくないのなら、少し離れた場所にある電車で通える学校を選ぶなど何かしらの解決策はあるはずです。

子どもが通信制高校に行きたいと言ったら

高校は義務教育ではないため不登校になると留年を告げられ、ほとんどの生徒が退学します。そして、退学する大部分の生徒は通信制高校に転入する道を選びます。不登校になる理由としては、勉強についていけなくなった、人間関係がこじれたなどいろいろありますが、保護者がやるべきことは不登校になった子どもを受け入れ、家での居心地を良くしてあげることです。「なぜ学校に行かないのか」と問い詰めるより、「話したいことがあればいつでも聞くよ」という姿勢を見せましょう。高校生は行動力もあるので、そのような姿勢を見せることが家出防止につながり、生徒も自分で次への一歩を考える余裕が生まれます。

通信制高校に通うには普通の子?世間の目が気になる保護者の方へ

ここで注意してほしいのは、子どもへの過保護や過干渉は避ける、ということです。自分の問題を自分で解決しようと図るのは大人になるためのトレーニングになります。過度なサポートはせず、フォローに徹することで不登校や退学といった事態も生徒の成長機会に変換できます。ただ、家に居てずっとスマホを触っていたり、ゲームをしたりだらだらと過ごすだけなのは良くありません。もう一度学校に行こうという意思がいつまで経っても湧いてこないようなら通信制高校やフリースクールなどの第三者に相談しましょう。さまざまなことを乗り越え、子どもが「通信制高校に行きたい」と言いはじめたら保護者はその背中を押してあげてください。

親に申し訳ない。通信制高校に通うことを親に反対された際に説得は必要?

勉強についていけない、人間関係が崩れた、といった理由で学校に通うのが嫌になったり、学校に行こうとすると急に体調が悪くなったり、中高生はさまざまな要因で不登校になります。ただ、「いまの学校には通いたくないけど、他の学校には通いたい」と考えている生徒はとても多く、中には自分から行動を起こし、「この状況を変えるために転入するべきか、するならいつ頃が良いか」と通信制高校の先生に相談する生徒もいるそうです。
通信制高校の先生と話し、「ここならもう一度学校生活を楽しめるかもしれない」と思ったら転入の手続きに移ります。そして、手続き上どうしても欠かせないものが親の同意です。やさしい子は「通信制高校に入りたいと言ったら親は嫌がって反対するだろうか」と悩んでしまい、なかなか口に出せないからもしれません。中には、親の説得方法をネットで検索する生徒もいるでしょう。

親を説得するには、やはり「現状がうまくいっていないこと」や「通信制高校でやりたいこと」を伝え、その上で「通信制高校なら改善する可能性がある」「将来の道が拓ける」ことを話すべきです。できれば全日制高校に通ってほしいと考えている親であっても、子どもが悩み、苦しんでいるのを知れば、無理して全日制高校に通えとは言いません。親を説得し、通信制高校でもう一度学校に通えるようになれば高校卒業後についても自然と考えられるようになり、将来の展望が開けるはずです。

通信制高校の通うことは甘えでも、ずるいことでもない

通信制高校の通うことは甘えでも、ずるいことでもない

「毎日登校しなくて良いなんてずるい」「通信制高校なんて甘えてるだけだ」通信制高校や子どもへの理解が足りない人たちからはいまだにそのような声が聞こえてきます。しかし、不登校が長期化すると家族以外の人とコミュニケーションを図る機会が極端に少なくなり、その結果家や自分の部屋から出られない引きこもりになってしまう可能性があります。
現在、30~50代の引きこもりは社会問題になっており、引きこもりの期間が長くなればなるほど社会復帰は難しくなります。そうならないためにも「不登校の長期化を避ける」ことを第一に考えましょう。10代で不登校や引きこもりになってもいくらでも挽回できますし、不登校支援に長けた通信制高校なら着実なステップを踏みながらもう一度学校に通えるようになるはずです。

通信制高校は人生終わりではない現実

全日制高校という多くの生徒が通う学校を辞めてしまうと、「もう人生終わりかも…」と思ってしまう生徒がいます。通信制高校のイメージがアップデートできていない場合、親も子どもの将来を案じるでしょう。
でも、自分のペースで学ぶことができ、好きなことにも積極的にチャレンジでき、生徒一人ひとりに向き合って適切にサポートしてくれる、という通信制高校の仕組みを活用すれば、通信制高校でしかできない経験をたくさん積むことができます。
通信制高校でさまざまな経験を積んだことで将来の目標が見つかれば、大学の推薦入試でのアピールポイントになります。高校生のうちからプログラミングやデザインを学び、もっと専門性を高めたいと専門学校や美大に進学した生徒も大勢います。通信制高校への入学は決して人生の終わりなどではなく、むしろ人生を好転させるために新しいスタートを切る絶好のタイミングだと考えてください。

岩田 彰人
教育メディア

株式会社プレマシード

教育メディアクリエイター

岩田 彰人

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