通信制高校のメリットを活かして大学進学するために

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通信制高校のメリットを活かして、少しずつ受験の準備をはじめよう

通信制高校は自分に適したコースを選ぶことができます。毎日登校するのが難しければ登校日数を選ぶことが可能ですし、オンライン学習中心で学ぶコースもあり、ゆとりをもって生活できるのが魅力です。通信制高校で自分らしく学び、目標を見つけて大学に進学するケースも増えています。

通信制高校のメリットを活かして、少しずつ受験の準備をはじめよう

「大学に進学したい」と思ったら、受験に向けて準備をはじめるためにも、なるべく早く相談してほしいと思っています。とはいえ、「全日制高校に入学後不登校になり、2年次から通信制高校に転入する」というケースも多く、1・2年生のうちは自分の生活で手一杯になっている生徒がほとんどです。体調やメンタルの不調を抱え、新しい学校の生活に慣れることも必要。先のことに目を向ける心の余裕が無くて当然です。
通信制高校は自分と向き合える時間的ゆとりがあるので、このメリットを活かして、焦らずに心身の回復を図るとともに、少しずつ受験準備も進めてゆけるとよいと思います。

つまずきやすいのは英語と数学。入試のトレーニングとして検定試験にチャレンジ

受験に向けて「何から勉強すれば良いのかわからない」という生徒もいると思います。受験勉強で最もつまずきやすい科目は英語です。英語に苦手意識をもっている生徒は多いので、英語の勉強に力を入れて英検を取得することをオススメします。英検は準2級以上を取得していれば外部英語試験利用入試など受験に役立つことが多いです。「自信がない」、「試験というだけで躊躇してしまう」としりごみしてしまう生徒もいますが、英検は大学入試受験の練習にもなります。自信がなければ、まずは中学卒業程度にあたる英検3級取得から始めることをオススメします。
例えば、立教大学の自由型選抜では「スコア」で出願条件が決められているので、英検3級でも高スコアを取ることができれば出願用件の一つを満たすことになります(※令和7年入試)。しかし、級を指定している大学が圧倒的に多いので、準2級、最終的には2級を目指してほしいです。指定校推薦や公募制推薦、総合型選抜の出願条件として英語外部試験のスコアが必須となっている学校も増えています。出願用件に挙げられていなくても、総合型選抜で早期に合格する生徒は、英検などにチャレンジし、自身で決めた目標スコアを達成している生徒が多いと感じます。

つまずきやすいのは英語と数学。入試のトレーニングとして検定試験にチャレンジ

また、通信制高校にはカリキュラム上理数系の科目をたくさん用意している学校はあまり多くありません。理系の学部では、化学の履修を出願要件にしている大学や、理科の上位科目、数学Ⅲを入試範囲としている学部もあるので、志望学部によっては数検や理科系の検定を受けておくのも良いでしょう。
学校への登校が柔軟である通信制の強みを活かし、ぜひさまざまな検定試験にチャレンジし、自信につなげてほしいです。

通信制高校での出会いと経験が進路選択につながる。人生を前向きに歩む力を身に付けよう

大学進学に不安があったとしても、通信制高校でさまざまな人と出会い、いろいろな経験をすることで新たな選択肢が浮かび上がってくることがあります。出会いや経験が進路選択につながることもあるので、まずは通信制高校で自分らしく過ごし、高校生活を楽しみましょう。
実は、通信制や全日制といった出身高校を問わず、大学では毎年一定数の学生が留年しています。そんな時も、留年という足踏みを否定的に捉えるだけではなく、次にどういうアクションを起こすかどうかが重要であり、周囲にSOSを出す勇気、一歩ずつでも前に進もうという気持ちが人生を切り拓く力となります。通信制高校で過ごした生徒はすでにこうしたアクションを高校時代に起こして目標を達成した経験を持っていることが多いので、自信をもって進学できるはずです。

通信制高校での出会いと経験が進路選択につながる。人生を前向きに歩む力を身に付けよう

また、大学の先生方と話すと「通信制高校の生徒は目的意識が高く自律的で、良い大学生活を送っている」と言われることが多々ありますし、大学に進学した生徒からも「周りは自分で履修や提出物、スケジュールの管理をする大学生活に戸惑っていたけど、自分は高校時代に取り組んできたことだからすぐに馴染むことができた」という声がよく聞かれます。こうした管理能力は社会人になっても必要な力です。大学や社会で必要となる基礎的かつ大切な力を通信制高校で培いましょう。

最近は他者からの評価を怖いと感じる生徒も多いですが、そのような生徒群は自尊心が高い傾向にある子が多いと感じることがあります。自尊心が高いからこそ低い評価を受けることを恐れてしまう。しかし、そうした生徒は「自尊心」と「自己肯定感」のバランスが取れると自分自身を躊躇なく発信できるようになります。「自尊心」に関することは一例にすぎませんが、通信制高校には多様な生徒が在籍しており、生徒同士で刺激し合える上に一人ひとりの個性や心理状況をくみ取ってくれる先生が多いです。先生のサポートを受けながら自信をつけ、個性を伸ばすことが大学入試の自己PRにもつながります。

中島 里佳
通信制高校

NHK学園高等学校

地歴公民科教諭、進路指導部、社会福祉士、キャリアコンサルタント

中島 里佳

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