思春期に多い起立性調節障害と不登校

PICKUP 不登校 起立性調節障害

通信制高校の現場から見る起立性調節障害

起立性調節障害(OD:Orthostatic Dysregulation)は、思春期の女子に多いと言われています。(※注釈:起立性調節障害の症状は、血圧の急激な低下によるめまい自律神経の機能失調です。特に、朝起床することが出来ない、めまい、動悸、失神などの症状が見られます。)見た目からはその症状が理解されず、サボりだと勘違いされるなど、まだまだ世間一般へ正しい認識は広まっていないのが現状です。保護者の方から見ても、まさか自分の子どもが起立性調節障害になるなんてと考えてしまうかもしれません。しかし、通信制高校には同じ症状で悩む生徒がたくさんいます。
英風高等学校の授業はすべて午後から開始します。起立性調節障害の生徒は、午後からであれば体調が回復する場合が多く、無理なく登校することが出来ます。そのため教職員は、起立性調節障害を持つ生徒に対して特別な意識は持っていません。例えるなら、全日制の教職員に「朝から登校する生徒はどう思いますか?」と質問するようなもので、通信制高校では当たり前のことなのです。

通信制高校の現場から見る起立性調節障害

起立性調節障害で悩む生徒へのサポート

起立性調節障害で悩む生徒へのサポート

起立性調節障害の症状は、重度になるとベッドから起き上がることすら出来ないほど辛いものです。自分の子どもが朝から登校しないことを気にされる保護者の方も多いと思います。しかし、通信制高校の教職員の視点では、その症状を訴えている子どもを強引に活動させない方がよいと考えています。無理をすると、かえって体に負荷がかかり、症状が長引く可能性があります。そして、学校に行けない焦りが募り、徐々に精神的に閉じこもってしまうことが多いのです。起立性調節障害の症状は、20代前半頃には治まる場合がほとんどだと言われています。それまでの間は、無理をさせない、活動を強制しないことが、私たち大人にできる最善のサポートだと思っています。

元気に動ける時間から行動することが大切

多くの通信制高校では、自分の体調に合わせて、午後から授業のスケジュールが組めるようになっています。本校の生徒の中にも、起立性調節障害に悩んでいたが、自分の体調に合わせて登校出来る仕組みを活用することで、友達と充実した高校生活を送っている生徒がいます。
ご自身が元気に動ける時間から活動することは、決して悪いことではありません。元気な午後から登校して、夕方から友人と遊んだり、バイトに行ったり、もっと勉強したい場合は塾や予備校を利用するのも良いと思います。
自分だけ朝から登校出来ずにいると、周囲から取り残されたような気持ちに苛まれ、悩みも尽きないのではないでしょうか。しかし、高校生活は人生の通過点に過ぎません。高校生の3年間がとても大切な時期であることは重々承知していますが、そこで自分を追い詰めてしまっては本末転倒です。体と心に負担を掛けずに、安心して通える学校は必ずあります。理解のある先生、そして友達と一緒に焦らず、慌てず、学校生活の思い出を作っていきましょう。

元気に動ける時間から行動することが大切
西口 英和
通信制高校

学校法人西口学園英風高等学校

理事長・校長

西口 英和

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