通信制高校って「普通の子」は通うのか。全日制高校の学校生活と比較

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普通の対義語は特別。だから通信制高校は特別な学校と思われる

小学校や中学校ではみんなが毎朝学校に行き、授業を受け、給食を食べ、清掃活動をして、部活動に励みます。この流れを9年間毎日繰り返せば、いつしかそれが『普通』だと考えるようになります。毎日学校に通うことが当たり前であり、世間一般のこと。そして、その普通のことを継続できる高校が全日制高校だと捉えられます。
近年は通信制高校の学校数や生徒数も増えているとはいえ、それでも全日制高校の学校数と生徒数は圧倒的に多く、言い換えれば「普通の学校で学ぶ、普通の子」が最も多いということです。『普通』の対義語は『特別』。そのため、通信制高校に対して特別なイメージを抱くのでしょう。実際、「本音を言えば普通の学校に通わせたい…」と話す保護者もいます。

普通の対義語は特別。だから通信制高校は特別な学校と思われる

多くの人が「学校には毎日登校して当たり前」という意識を持っているからこそ、不登校になり途中で通えなくなってしまうと、「全日制高校に通えなくなった事情」が特別なものとして扱われます。生徒本人と保護者には「普通に戻りたい」という願望があっても、段階を踏まずに無理強いすると負担になり、生徒を追い込むことにつながってしまいます。
適切なステップを踏み、失った自信を取り戻し、『普通』に戻るサポートをする。それができるのは、全日制高校と同じような校則やカリキュラムを用意している通信制高校です。

校則について自分なりに考えることで社会性が生まれる

通信制高校の中にも、全日制高校のような学校があります。ここで、明聖高等学校の通信コースと全日コースの校則や校風を比較してみましょう。

通信制高校には校則に縛られない、自由な校風の学校が多いです。これは、社会的なルールや制約に馴染めない生徒の受け皿になる、という考え方があるからです。また、そもそも通信制高校は社会人が働きながら通える学校として開設されました。美容師として働いている人に「入学したいなら髪色は黒くしろ」と言っても、それでは仕事に支障が出るかもしれませんし本末転倒です。
そのような理由から通信制高校は自由度が高く、私たちの明聖高等学校でも通信コースは制服や校則がありません。授業中にスマホをいじったり、サングラスを着用したりといったマナー違反は指導します。

一方、明聖高等学校・全日コースでは毎日制服を着て通学し、授業を受けます。頭髪、化粧、装飾品にもルールを設けており、校則や時間割の面では全日制高校と同じような学校生活を送っています。
校則があると、生徒はそのルールについて自分なりに考え、答えを出そうとします。納得できない部分があれば生徒会などを通して変更を発議することができます。この過程が生徒の主体性・社会性を育み、先生は大人としてアドバイスを行います。
突然髪色を変えた生徒がいれば、それは生徒からのメッセージです。髪色を変えたことを頭ごなしに叱るのではなく、「何かあった?」とコミュニケーションを図ることで生徒への理解につなげています。

校則について自分なりに考えることで社会性が生まれる

ルールやマナーを学び、社会に出る準備をしよう

学校の校則を一つの例として通信制高校と全日制高校を比較しましたが、そもそもルールやマナーは学校の中だけ守れば良いものではなく、社会に出る上で必要な規範意識です。校則は学校という社会で決められているルールであり、なぜルールがあるのか自分なりに意義を考えて守ることが大切です。ルールを破れば自分が不利益を被るのも社会では当たり前のこと。ルールやマナーを守りながら自分らしさを発揮する術を学んでいきましょう。

ルールやマナーを学び、社会に出る準備をしよう

長い人生の中では理不尽なことに出会ってしまうこともあります。それでも、自分なりに考え、折り合いをつけていく。変えたいものがあるなら正規の手順で変えていく。明聖高等学校でも納得できない校則があればみんなの意見を聞いたり、生徒会を通じて変更したりすることができます。ルールやマナーを学び、折り合いをつけること、変更を求めて行動を起こすこと、その1つひとつが社会に出るための準備となります。

吉澤 信二
通信制高校

学校法人花沢学園 明聖高等学校

教頭・国語科教諭

吉澤 信二

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