問題解決型学習で見つかる、伸ばす、自分の「好き」

PICKUP 通信制高校

通信制高校には声優、デザイン、eスポーツなど、自分の好きなことにチャレンジできる多彩なコースが用意されています。高校生の段階から自分の好きなこと、興味があることに主体的に取り組むことができ、中でも問題解決型学習(Problem Based Learning)は生徒が好きなことを見つけ、個性を伸ばすことに適した学習方法です。
ここでは、私が所属する『原宿AIA高等学院』の事例を出しながら「好きを活かす教育」について説明します。

問題解決型学習は、自分で「何が問題か」を考えることからスタートする

問題解決型学習は、自分で「何が問題か」を考えることからスタートする

問題解決型学習とは、自分で問題を考えて解決する学習方法です。例えば、5月のゴールデンウィークが明けて登校した生徒たちが「GW中に家族旅行をしたけど何か物足りなかったんだよね」と話していたとします。「家族旅行」というテーマに対して、「物足りない」という感想を抱いた。
ここで、「家族旅行は満足度が低い」という問題提起がなされます。この問題に対して「では、どうすれば満足度の高い家族旅行ができるのか」と考える。これが、問題解決型学習です。自分たちで問題やテーマを決め、自分たちで解決策も考えていくのが特徴で、この学習を続けることで思考力をはじめ表現力や行動力も高まります。

問題解決型学習(Problem Based Learning)と共に、課題解決型学習(Project Based Learning)という学習方法もあります。略すとどちらもPBLになり少々ややこしいですが、課題解決型学習は教員が問題を提示し、生徒は提示された問題に対して解決策を考えます。例えば、「源氏物語の魅力を図式化して説明してみよう」と教員に言われて取り組めば、それは課題解決型学習です。

問題解決型学習と課題解決型学習を比較すると、課題解決型学習には「教員の押し付け感」があります。源氏物語に興味がない生徒は積極的に取り組まないでしょう。一方、問題解決型学習の課題は教員主導ではないため参加の強制力がないことです。忙しい、面倒だ、と思う生徒をどう巻き込んでいくか。ここは教員のコーチング力が問われるところです。
ただ、問題から考えることで生徒は自分と向き合い、自分を深く知る機会になります。好きなものがなくても興味を抱くきっかけを得られるかもしれません。最近の高校生はSDGsや福祉にも興味をもっており、学習テーマとして扱う学校も増えています。「ゴミを減らすために何をするべきか」といった問題を自発的に考えることで、生徒たちは社会との関わり方も学んでいけるのです。

プロジェクトを通して自分の「好き」を極めていく

プロジェクトを通して自分の「好き」を極めていく

問題解決型学習について、『原宿AIA高等学院』の例を紹介します。まず、問題解決型学習をはじめる時は生徒に「好きなもの」と「嫌いなもの」を書き出してもらいます。好きなものとしてはK-POPや漫画などが挙がることが多いです。次に、生徒の得意な動詞ランキングを書き出してもらいます。考える、書く、話す、質問する、分類するなど、これは生徒によってさまざまです。

「好き」と「高ランクの動詞」を掛け合わせると、「K-POPについて話すのが好き」といったように、その生徒の好きで得意な行動特性が分かります。そこで、同じような生徒が何人かいれば「K-POP座談会」を企画してプロジェクト化し、「K-POP第4世代は何がすごいのか」など、具体的なテーマについて深掘りしていきます。プロジェクトに参加した生徒たちはそれぞれの視点から自分の意見を述べ、その結果知見は深まり、「好き」という想いもさらに大きくなる、というわけです。

これは「好きなもの」だけではなく、「嫌いなもの」でも同様です。理科が嫌いな生徒たちが「理科を嫌いな人でも理解できる理科の教え方」などを考えれば、「そもそも理科のどんなところが嫌いなのか」といった視点から面白い解決策を見出せるかもしれません。

通信制高校ならではのメリットを活かして問題解決型学習に取り組もう

通信制高校ならではのメリットを活かして問題解決型学習に取り組もう

問題解決型学習に取り組む上で通信制高校には大きなメリットがあります。それは、特定のテーマ・問題をとことん探究できることです。全日制高校にもプロジェクトはありますが、決まったカリキュラムと部活動によって時間は限られます。しかし、通信制高校は時間の制約がなくプロジェクトだけに1日7時間程度費やすことも可能です。

また、少人数だからこそ教員はコーチング力を発揮しやすく、「座談会には何が必要だろう? 参加者はどうやって選定する?」と問いかければ、生徒はプロジェクトを充実させるために行動します。テーマ決めには10代カルチャーへの理解も大切となるため、普段から生徒とコミュニケーションを図っている通信制高校の教員は適しています。

問題解決型学習を通して生徒のアイデア出しの量と質が増え、「前回より良いものをつくろう」という提案力の向上も見られます。地域のお祭りでフォトブースを出展した際はそのプロジェクトに参画した生徒たちがポップアップアーティストにスカウトされたという例もあり、学習した成果を校外に向けて発表することで生徒の成長を促すだけではなく、学校外の人や地域とのつながりも強くなります。

問題解決型学習に取り組むことで生徒たちは自分の好きなものを見つけ、伸ばしていくことができます。すでに好きなものがはっきりしている生徒なら、通信制高校で10代のうちから「好き」の可能性を広げられます。
ただ、「何が問題か」と自分たちで考えることが起点となるため、教員の適切なサポートがなければなかなか問題点を把握できず、プロジェクト化できない可能性があります。だからこそ、「どう思う?」「どうしたい?」と教員が生徒に問いかけ、答えを明示せず生徒に自発的な思考と行動を促すスキルが必要です。

福田 健志朗
サポート校

原宿AIA高等学院(AOIKE高等学校)

主任

福田 健志朗

一覧へ戻る