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近年、通信制高校からの大学進学が注目を集めています。特に総合型選抜などの推薦入試で大学入試を突破する人が増えています。そして、通信制高校の中には自由度の高いカリキュラムを活かして問題解決型学習(Problem Based Learning、以下PBL)に力を入れている学校もあり、総合型選抜を突破する上でPBLはとても有益な学習方法のひとつです。
「通信制高校でPBLに取り組み、総合型選抜で大学に合格する」そんなルートが確立されようとしています。今回は、PBLを積極的に行っている『原宿AIA高等学院』の福田健志朗先生にPBLの学びをどのように活かして総合型選抜を突破するのか、お話しを伺います。
総合型選抜の入試では、志望理由書、小論文、面接、口頭試問が行われるのが一般的です。難易度の高い大学の場合は国語、数学、英語の試験や講義を受け、質疑応答の試験が課されることもあります。この質疑応答によって基礎学力と思考力を計り、「入学後も主体的に学んでくれそうか」を確認しています。また、学部学科によっては語学検定の取得が条件となっている大学もあります。
口頭試問で受け答えができるよう最低限の勉強は必要ですし、小論文を書くために自分と向き合う作業も求められます。
総合型選抜のメリットは、小論文や面接対策を行う過程で「何のために大学に行くのか」「大学で何を学びたいのか」といった志望理由を言語化し、目的意識を高められることです。これは社会人としての基礎づくりにもつながります。
一方、デメリットは一般入試と異なり「ひたすら勉強しても合格に近づけるわけではない」ということ。自力での対策が難しい受験方法と言えます。
自力での対策が難しい総合型選抜を突破するために、どのような学習をすれば良いのか。その答えの一つが問題解決型学習(PBL)です。PBLについては別のページで詳しく解説していますが、簡単に言うと生徒が自分たちでテーマや問題を決め、その解決策まで考え抜く学習方法です。個別のテーマや問題をプロジェクト化することで生徒は思考力と表現力、行動力を身に付け、主体性も育まれます。
現在、多くの通信制高校が生徒の個性と主体性を伸ばすために積極的にPBLに取り組んでおり、全日制高校とは異なる自由度の高いカリキュラムを活用して多くの時間をPBLに割いています。
プロジェクトによっては校内だけではなく外部を巻き込むことも可能です。ただ、企業や地域の方々などさまざまな人と関わってプロジェクトを進めるには学校と生徒に「余白の時間」が必要となります。その点でも通信制高校なら柔軟に対応できるため大きなプロジェクトに参画しやすいのです。
PBLに取り組み、多くの人と関わりながらプロジェクトを完遂した経験はアピールポイントになりますし、通信制高校なら長期留学などにもチャレンジできます。高校生活で成し遂げたことをしっかり伝えることができれば、おのずと総合型選抜での大学合格が見えてくるはずです。
総合型選抜の対策として、『原宿AIA高等学院』を例にすると、もちろん志望理由書から原稿用紙の使い方、面接のマナーなど基礎的な指導も行います。そこにPBLの経験を加え、志望理由や大学でやりたいことをブラッシュアップしていきます。PBLで外部の大人と関わって対話した経験すら進路対策となるでしょう。
通信制高校は自分の好きなことを探究できる環境なので、PBLを通して好きなことを極めることも可能です。中には通信制高校でずっとクラゲの研究を続け、その成果が認められて総合型選抜で東京大学に合格した生徒もいます。すでに好きなものがある生徒も、ぜひ通信制高校で「好き」を磨いてほしいと思います。
また、受験対策の一環で目的意識を高めたことで、大学入学後のGPA(成績の平均値)は一般入試で入った生徒よりも総合型選抜で入った生徒の方が高くなる、という研究結果もあります。大学は自分の好きな授業を履修できる分、目的意識が高いほど成績も良くなるのは当たり前のことかもしれません。逆に、目的意識が低ければ単位を落としたり退学につながる危険性もあります。
通信制高校でPBLに取り組み個性と好きを磨き、PBLを通して総合型選抜対策を行い、大学受験を有利に進めてください。
通信制高校から大学に進学した先輩たちは、「出席や勉強はなんとかなる」「通信制高校と同じ感覚で大丈夫」と話すそうです。大学は自分でカリキュラムを構成でき、自分のペースをある程度キープできるからでしょう。
クラゲの研究を続けて東大に合格した生徒のように、好きなことがあれば好きなこともPBLで突き詰められます。すでに好きなことがあるなら総合型選抜での合格率はさらに高まるかもしれません。