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高校を辞めることを考える際、様々な思いや不安が頭をよぎることでしょう。この大切な決断をする前に、まずは知ってほしいこと、整理すべきことがあります。麗澤高等学校の山本先生に解説していただきました。
高校生が学校を辞めたくなる時期は、一般的にGW明け、夏休み、秋の季節が多いとされています。新入学または新学期で環境が変わり、新しいクラスですぐに馴染めないとGW後に登校するのが嫌になるのでしょう。また、「1学期は何とか乗り切ったけど、もう無理かも…」という気持ちで夏休みに突入すると、どうしても夏休み中に転校について考えてしまいます。そして、秋になると出席日数の問題が出てきます。全日制高校の場合、出席日数が足りなければ原級留置(留年)となります。原級留置しないためには欠席は出席すべき日数の3分の1以内に抑えなければならない学校がほとんどです。しかし、1学期の間に欠席日数が多くなった場合は秋頃に「このままだと進級は難しい」と先生から告げられ、通信制高校等への転入を検討する、というわけです。
学校を辞めたい理由も主に3つあります。1つ目は人間関係のトラブル、2つ目は勉強の遅れ、3つ目は体調不良です。友達との関係がギクシャクしたり、テストで赤点を取って追試に追われるようになると学校生活を楽しめません。特に3つ目の体調不良では、起立性調節障害や過敏性腸症候群に悩む生徒が近年とても増えています。
このような理由から全日制高校を辞めると決め、通信制高校に転入・編入をする場合、「いつ転校するか」はとても重要な問題です。まず、高校1年生・2年生であれば緊急を要する場合を除き、できるだけ単位を取れる形で転校しましょう。1学期中の転入・編入であればその後の通信制高校での学習への取り組みは特に支障がありません。通信制高校では前期の単位から申請・取得できます。通信制高校によって差はありますが、概ね9月~10月は単位の申請がギリギリのタイミングです。それ以降は3月まで全日制高校に在籍した方が良いでしょう。その年度の単位を取得し、新学年から学校を変えた方がスムーズに卒業を目指せます。
1・2年生と異なり、3年生での転入・編入は注意が必要です。学校に慣れる時間も必要ですし、転校したばかりの頃は勉強も手に付かないでしょう。生徒の状況にもよりますが、大学受験など卒業後の進路を考えると3年生での転校は慎重に考える必要があります。
高校を辞めたいと思った時にやってほしいことが1つあります。それは、「高校を辞めようと思う」と誰かに相談することです。今すぐに辞めた方が良いのか、辞めずにもう少しだけ頑張った方が良いのか、一人で判断するのは難しいです。でも、周囲に相談して他の人の意見も聞けば客観的な判断がしやすくなります。
中には、「相談したいけど、相談できる人がいない」というケースもあるかもしれません。こうしたケースはコロナ禍によって同級生や先生と対面で話すことが一時的に遮断されたせいで増加傾向にあります。そもそも学校が嫌いなら先生には話しにくいでしょうし、親子関係がギクシャクしていた場合は両親にも相談したくないでしょう。養護教員やスクールカウンセラーはとても頼りになる存在ですが、あまり話したことがなければいきなり退学の相談をするのは気が引けるかもしれません。一番良いのは友達です。ただ、不登校などの場合は「この状態で友達に会いたくない」という生徒もいます。
まずは身近なところに居る人の中に相談できる人がいるか探し、相談できればOKです。相談できる人がいないと感じたら、SNSを活用するのも良いかもしれません。通信制高校へ転校した人、自分と同じような境遇の人の意見を見れば、高校を辞めるべきかどうか一度立ち止まって考えられます。ただし、アカウントの真偽が不明な場合もあるので、自分から投稿して意見を求める場合はくれぐれも注意してください。
高校を辞めるかどうか誰かに相談するのはとても大切です。しかし、先生や両親に相談した結果、なんとなく説得されて渋々残るようでは何も改善しないでしょう。また、辞めないと決めた結果、頑張りすぎて状況を悪化させるのが一番良くありません。重要なのは、「自分がどうしたいか」です。人の意見も考慮した上で、改めて自分と向き合ってみましょう。
そして、高校に在籍し続けるのか辞めるのか、辞めるならどの学校に転入するのか、その決断は必ず自分で行いましょう。人生は決断の連続です。特に大人の一歩手前の高校生であるならば最後は自身の決断が一番重要です。自分で決めず、誰かの意見に従ってしまうといずれ後悔する時がくるかもしれません。でも、自分で決断し、その決断に納得できればもう一度学校生活を楽しもうという気持ちになれるものです。
人間関係のトラブルが原因で不登校になった場合などは新しい学校にもなかなか足が向かないかもしれません。そのせいで、転校した通信制高校でもまた不登校になってしまう、というケースも時々あります。しかし、せっかく学校を変えたのならまずは登校してほしいと考えています。通信制高校にはあなたと同じような悩みを抱えて転校してきた生徒が大勢います。通信制高校で改めて友達をつくり、コミュニケーション力を身に付けながら学校生活を楽しみましょう。