メインメニュー
インターネットの掲示板などで「通信制高校に行きたいと親に話したらに甘えだと言われた」といった書き込みを目にすることがあります。通信制高校に進学することは本当に甘えなのでしょうか。聖望学園高等学校の表先生に解説していただきました。
通信制高校へ入学する際は、事前に個別相談会に参加する人が多いです。そこで「いま悩んでいること」や「不安に思っていること」を伺いますが、多くの生徒が「いま通っている学校には居場所がない」と話します。そして、なぜそう思うのか紐解いていくと、学力不振、不登校、対人関係の不安、の3つが主な理由として浮かび上がります。
この3点は通信制高校ではいずれも解決できる問題です。通信制高校でどのように解決しているのかを解説しましょう。
通信制高校では中学の学び直しからスタートできます。テストでも中学の内容について理解しているか確認するので、自然と高得点が取れます。すると、「苦手だったテストで高得点が取れた」ということが自信につながり、勉強へのモチベーションを高めます。勉強を継続できれば苦手意識も薄れていき、学力不振から抜け出せる、というわけです。
すでに不登校になっている生徒、または学校に行きたくないと思っている生徒も、通信制高校で学校行事に参加すると少しずつ変わっていきます。例えば、「学校に登校する気力は湧かないけど、文化祭の準備なら参加してみようかな」という生徒がいたとします。最初はなんとなく来ていたのに、みんなで一緒に準備をするうちに楽しくなり、自然と足が学校に向くようになる。すると、文化祭の準備を朝から行えば朝来るようになります。それが3日も続けば、毎朝登校できるようになるのです。
毎朝起きて学校に行くことは、全日制高校に通っていれば普通のことでしょう。しかし、その普通のことを繰り返すことで「自分にもできるんだ」と自信をつけさせ、不登校を克服するきっかけを掴んでもらいます。
通信制高校は全日制高校と変わらない学校生活を送れます。「友達をつくりたい」と思っている生徒が多いので先生も友達づくりをアシストし、好きなことや興味のあることが同じグループをつくりコミュニケーションを促すこともあります。また、先生との距離感が近く、何でも相談できる先生がいるのも通信制高校の特徴です。
この3点を解決できれば、生徒は「学校にも自分の居場所がある」と感じはじめ、学校生活を楽しめるようになります。
世間には「通信制高校に入学するのは甘えだ」という意見があり、それを真に受けて「自分は甘えているのかな?」と悩んでしまう生徒がいます。
断言しますが、通信制高校に入学するのは甘えではありません。むしろ、悩みや不安を抱えているのにそれを解決しようとせず、みんなと同じ場所に居続けることの方が不健全ではないでしょうか。それに、大人だって仕事の内容や人間関係が合わないといった理由で就職した会社を辞めて転職し、自分に合った職場を見つけようと試みます。それを甘えという人はいません。
学生はまだいろいろなことを学んでいる最中です。通信制高校に入学するという選択肢も、自分の悩みや不安を解決するため。これが「現状に即した形」だと考えてください。
聖望学園は全日制高校も運営しており、全日制から通信制に転籍できます。生徒や教員にとっては「クラスが変わる」くらいの感覚ですが、保護者の方はだいぶ違います。ほとんどの保護者は通信制課程を全日制の「下」に見ていて、できれば全日制に所属したまま卒業してほしいと願っています。
下に見るのは通信制高校に対してネガティブなイメージや偏見があるからです。実際、親世代が学生の頃の通信制高校はドロップアウトした生徒が集まる場所でした。その頃のイメージが抜けず、世間の風潮からも通信制高校は全日制より下だと思い込んでいるのです。この偏見は親子間の会話では解消しないため、個別相談会に参加してもらった際はいまの通信制高校の取り組みを伝え、誤解・誤認・偏見の解消に努めています。
もし通信制高校への入学を保護者に反対されている生徒がいれば、偏見や思い込みに負けず、一度保護者と一緒に個別相談会に参加してください。通信制高校の先生の説明を受け、楽しそうに過ごす生徒を見れば、通信制高校に反対していた保護者の方もきっと認識を改めるはずです。