メインメニュー
大学進学を見据えて通信制高校を選ぶ際、「指定校推薦をもらうチャンスはあるか」と質問される方が多いそうです。また、通信制高校は大学進学に不利になるのではないか、学校の勉強だけでは足らず塾に通って勉強する必要があるのではないか、と不安になる方も多いようです。しかし、青楓館高等学院 岡内大晟先生は「推薦入試こそ通信制高校の生徒が受けるべき受験で、そのために好きなことに打ち込むべき」と話します。そこで、推薦入試の種類(指定校推薦、公募推薦、総合型選抜)から推薦入試が通信制高校の生徒に有利な理由まで解説していただきました。
通信制高校から大学進学を目指す生徒が増えています。現在の大学入試制度は主に一般入試と推薦入試に分けられ、推薦入試には指定校推薦、公募制推薦、総合型選抜(旧AO入試)の3つがあります。
公募制推薦と総合型選抜の差は学校長の承認が必要となるかどうかだけで、大きな違いはありません。どちらの試験内容も、①志望書、②小論文、③面接がほとんどで、公募制推薦では学科試験や口頭試問が加わる場合もあります。
推薦入試による合格者は年々増えており、この流れは私立大学だけではなく国公立大学でも顕著です。実際、2022年度の入試では50%以上が推薦入試による合格者でした。そして、推薦入試で大学合格を目指すなら全日制高校より通信制高校の方が圧倒的に有利です。
通信制高校が有利な理由は、まず評定平均が取りやすいことが挙げられます。通信制高校では基本的に、レポートや定期テストをしっかりと取り組めば、評定平均で「5」と評価されるため、全日制高校に比べ評定平均が取りやすくなっています。
また、勉強も部活動も委員会もアルバイトもそつなくこなすことが求められる全日制高校の生徒に比べると、通信制高校の生徒は「一度レールを外れた」という思いから「高校では好きなことに打ち込もう」とする姿勢がなります。この好きなことに全力で取り組む姿勢が推薦入試における恰好のアピールになるのです。これまで私が受け持った中には、「セミの鳴き声を聞き分けられる」という生徒がいました。まさに特技というべき特別な技能ですが、出会った当初は「こんなこと意味ないですよね」と自信なさげに話し、保護者の方も「そんなことを特技だなんて言わないでよ、恥ずかしい」と注意していました。保護者の方に悪気はなかったのでしょうが、これは個性を抑圧している状態です。そこで私たちは「セミの鳴き声が聞き分けられるなんてすごい」と思ったことをそのまま伝えました。すると、初めて承認欲求が満たされたのかその生徒の才能が花開き、大学進学を目指した結果、大阪の国公立大学に合格したのです。この事例からも好きなことを熱量を持って伝えられれば推薦入試に合格できることがわかってもらえるはずです。
推薦入試を目指す上での注意点は、きちんと合格実績を持っている先生に教わることです。推薦入試のノウハウと一般の入試対策はまったく違います。推薦入試での大学進学を視野に入れているなら、公募制推薦や総合型選抜に強い通信制高校を選ぶのも良いでしょう。
ただし、指定校推薦に期待して学校を選ぶのはやめておきましょう。通信制高校に割り当てられている指定校推薦の枠はまだ限られています。この枠を勝ち取るのはハードルが高いため、推薦入試を広く捉えて学校を選ぶ参考にしてください。