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義務教育ではない高校では不登校になると留年してしまうため、退学し通信制高校に転入するケースが多くなります。そのため、小学校や中学校のように不登校の実態を掴むのが難しい状況です。ただ、高校での不登校は進学校や中高一貫校に入学したものの勉強についていけなくなったケースが多いそうです。学研のサポート校 WILL学園山下先生によると、勉強や人間関係の問題を抱えて学校に通えなくなった場合、その解決策を自分で探す高校生も多く、本人の意思決定を尊重することが自己肯定感を高め、復学や通信制高校への転入につながり、夢に向かって動き出すきかっけにもなるそうです。
中学に比べると高校における不登校の生徒は多くありません。また、高校は義務教育ではないため不登校になると留年を告げられ、ほとんどの生徒は退学します。退学した生徒が通信制高校に転入すると不登校とはカウントされず、その結果、余計に不登校生徒の実数把握が難しくなっています。
不登校の原因として「勉強についていけなくなった」という理由も増えてきますが、それ以上に多いのは「中高一貫校のカリキュラムについていけず、エスカレーター式の仕組みに乗れなかった」というものです。小学校の時に不登校の経験や発達障害があり、頑張って中学受験をして入学したけれどついていくことが難しくなるケースもあります。
勉強や人間関係の問題を抱えて学校に通えなくなった場合、その解決策を自分で探す高校生も少なくありません。退学する前に通信制高校へ相談に来る生徒もいます。そのような時は本人の意向と行動を尊重してください。自分の問題を自分で考えて解決しようとする姿勢は大人になるためのトレーニングとなります。保護者や周囲の大人は過度なサポートをせず、フォローに回ることで成長の機会にすることができます。
2022年から成人年齢が18歳に引き下げられました。教育制度自体が大きく変わったわけではありませんが、高校生のうちから契約の締結や選挙の投票ができるようになったため、周りの大人が見守っている中でさまざまなことに挑戦させ、大人への階段を上る手助けをしてあげなければなりません。
通信制高校への入学と卒業も、そうしたトレーニングの一つと捉えられます。多くの生徒は通信制高校への入学を自分の意思で決定します。自分の意思決定により入学し、無事に卒業できればとても大きな達成感を得られます。この時に抱くプラスの感情は将来にも必ず活きるはずです。
日本の社会の中では、欧米のように「個人主義をベースに成長し、すべて自己責任で行う」という意識を持ち、周囲を振り切って行動することは難しいです。これは最低限の生活を保障してくれる日本の法制度や、助け合いを良しとする慣習によるところが大きいと思います。そのため、生徒の意思で決められる機会があればその意見を尊重してあげましょう。ちょっとしたことが大きなきっかけになるかもしれませんし、10代のうちからさまざまな経験を積むことで自己肯定感は高まり、本人の気持ちや姿勢も良い方向に進んでいきます。
最後に、保護者の方にお願いがあります。高校生の子どもが急に不登校になっても慌てないでください。まずやるべきことは、不登校になった子どもを受け入れ、家庭での居心地を良くしてあげることです。「なぜ学校に行かないのか」と問い詰めるより、そっとしておいた方が良いケースもありますし、「話したいことがあればいつでも聞くよ」という姿勢を見せてください。
このような対応をするべき理由は、高校生は中学生よりも行動力があるからです。不登校を許さず強引に登校させようとしたり、無理に話しを聞こうとすると家出につながる可能性もあります。対応方法に迷う場合は高校の先生に相談し、養護教諭やスクールソーシャルワーカーの方の話を聞いてみるのが良いでしょう。保護者の方の負担を減らし、いざという時に慌てないためにも普段から困った時の相談先を確保しておくことが大切です。