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中学生になると子どもたちのコミュニティが大きくなり、環境の変化や対人関係のトラブルが不登校の原因になることも多いそうです。また、思春期を迎えて感受性が強くなり、価値観の違いや男子らしく、女子らしくといったジェンダー問題にストレスを抱える生徒も増えてきます。「不登校になった場合は復学を目指すべきなのか」、「中学校で何を身に付けさせるべきか」「ゲームばかりして言うことを聞いてくれない」など、多くの保護者が抱えている悩みについて、学研のサポート校 WILL学園山下先生にお話しを伺いました。不登校への理解促進と対処法として親子で参考にしてください。
中学生になると、環境の変化に戸惑い不登校になる生徒が増えてきます。小学校の頃からずっと不登校が続く生徒より、中学進学後に不登校になる生徒の方が多いです。例えば、公立中学には学区内の複数の小学校から生徒が集まるため、生徒たちのコミュニティが大きくなります。その結果、多人数の空間が苦手な子はその苦手な部分が表に出やすくなり、次第に学校への苦手意識が強まり不登校になるというケースです。また、学校側も小学校の時のように福祉的なサポートを行うよりも生徒の自立を促す指導が増えるため、先生たちの対応の変化に違和感を覚え困っていることを相談できず不登校につながるケースもあります。
中学における不登校の原因として多いのは、いま挙げた環境の変化と対人トラブルです。思春期を迎えた生徒たちは成長に伴い感受性が強くなり、価値観の違いに周囲とのギャップを感じるようになります。男性らしく、女性らしくといったジェンダー問題にストレスを抱える生徒もいます。これは中学校の中だけの問題ではなく、多様な価値観を認め合う社会になることが必要ですが、問題が表面化した時に先生が授業で扱い、生徒たちの理解を深める機会を作るなど臨機応変に対応できれば不登校につながるようなトラブルの深刻化は防げると思います。
子どもが不登校になるとほとんどの保護者は復学の道を模索するはずです。復学の準備として、まずは不登校による昼夜逆転生活を改善し、外出の機会を増やすことを心掛けてください。外出は家族で夕食を食べたり、犬を散歩させるだけでも良いです。外出して社会と接点を持ち続けることが重要で、一切外出しなければ不登校から引きこもりになり、改善のハードルはさらに高くなります。生徒本人が社会を意識し続けられるよう、適度に外出の機会をつくってください。生活面を立て直すことができれば復学の道筋も見えてきます。
ただ、個人的には無理して復学させる必要はないと考えています。中学校で身に付けなければならないものは学力と社会性です。そして、学力は高校で取り戻すことができます。生活を立て直し、学校へ通う意欲が湧けば復学する、復学の意思がなければフリースクールなどを活用して高校進学を目指しても良いでしょう。いまは地域社会が昔ほど機能しておらず、お節介な人もいなくなりましたが、その役割を担っているのがフリースクールです。生徒だけではなく、保護者へのケアも含めて家庭へのサポートを相談しても良いかもしれません。
不登校になって何もせず日々を過ごすと自己肯定感がどんどん小さくなってしまいます。この状況を回避するためにも、親子で体験教室に参加したり、興味が湧いたことに積極的にチャレンジしてほしいです。ここで大切なのは、学びを広い観点で捉えることです。学校の教科だけが学びではありません。興味のあることを学ぶ気持ちで気軽にチャレンジしてください。
ただし、チャレンジするには気力が必要です。また、気力と体力はセットです。少し動いてすぐに疲れるようではチャレンジを継続できません。だからこそ、やはり生活面を整え、規則正しい生活の中で自分の興味のあることを見つけてほしいと思っています。
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