通信制高校での学びや進路

通信制高校から専門学校へ進学はできるの? 試験で落ちるってホント?

専門的な技術や知識を身に付け、就職に有利な資格や経験を得るために、専門学校は人気のある進学先です。
専門学校と提携して専門科目を学べるコースを設置している通信制高校も増えており、卒業後の進路としての専門学校はさらに身近なものとなっています。
専門学校に関する基礎知識や、通信制高校から専門学校への入学方法などに関する情報をまとめました。

専門学校への入学には高卒資格が必要

「専門学校」は、専門課程を置く専修学校(※)のみが使える名称です。学校名に「専門学校」を使用するには、「専修学校専門課程」として、各都道府県知事の認可を受ける必要があります。
(※)専修学校:学校教育法第124条に定められた、都道府県の知事の認可を受けた学校。修業年限1年以上、年間授業数800時間以上、常時40名以上の学生が在籍している教育施設

「専門学校」の入学資格は、高等学校卒業(あるいは高等専修学校(3年生以上)卒業)以上と定められています。

実践的な職業訓練に力を入れる専修学校には「専門学校」の他に、「高等専修学校」や「専修学校」などがあります。

専修学校の3課程
  • 専門課程: 入学資格は高卒以上。「専門学校」と称することができる。
  • 高等課程: 入学資格は中卒以上。「高等専修学校」と称することもある。いわゆる「技能連携校」。
  • 一般課程: 学歴不問。

高等専修学校と高等専門学校の違い

高等専修学校(専修学校高等課程)と名称がよく似ているのが「高等専門学校(高専)」ですが、こちらは専修学校ではありません。高専は学校教育法第1条に規定されていて、「1条校」と呼ばれる学校区分に分類されます。5年(商船系学科は5年半)間在学し、卒業に必要な単位を取得すれば高卒資格を取得できます。

一方、高等専修学校は職業訓練校としての色が強く、卒業しても高卒資格は取得できません。高卒資格を得るには、「定時制高校や通信制高校と連携している高等専修学校」を卒業する必要があります。こういった学校は技能連携校と呼ばれます。

専門科目を学べるその他の学校

専修学校の他にも、職業教育を行う「各種学校」と呼ばれる教育機関もありますが、入学資格などが専修学校とは大きく異なります。

また、専修学校や各種学校以外にも、都道府県知事などの認可を受けていない「無認可校」が数多く存在しています。無認可校は法令に基づかないというだけで、教育施設としては問題なく合法です。しかし入学資格、修業期間、カリキュラムなどの自由度が高い反面、無認可であるため公的なローンや奨学金制度の利用ができない、通学定期などの学割が利かない等の様々なデメリットが生じる可能性があります。○○専門学院、○○専門校などの名称を使っている場合もあり、紛らわしいので注意が必要です。

もしかすると、専門学校だと思っていた学校が、実際にはそうではない可能性もあります。また、専門課程を置く専修学校の全てが○○専門学校と名乗っているわけでもありません。専門学校への入学を目指す人は、自分の志望校がどの分類の教育施設なのか、気を付けて調べておきましょう。

専修学校とは?
専修学校
専修学校専門課程
(専門学校)
専修学校高等課程
(技能連携校)
専修学校一般課程
  
法的
位置付
都道府県知事の認可を受けた学校(学校教育法第124条)
年間授業
時間数
昼間学科 : 800時間以上
夜間学科 : 450時間以上
入学資格 高等学校卒業以上 中学校卒業以上 学歴不問
その他の学校と無認可校
各種学校 無認可校
法的
位置付
都道府県知事の認可を受けた教育施設(学校教育法第134条) 法令に基づかない自由な教育施設
学院、スクール、アカデミー、カレッジ、専門校などといった名称を使用している
年間授業
時間数
680時間以上 各学校が定める
入学資格 各学校が定める 各学校が定める

通信制高校から専門学校に入学する方法 ~ AO / 推薦 / 一般入試 ~ 

通信制高校から専門学校へ入学するには、大学進学と同じく「AO入試」「推薦入試」「一般入試」の3種類の方法があります。

専門学校で求められる偏差値は大学受験と比較すると低いものの、「専願(一校のみに絞る出願方法)」で合格率を上げたいなら、一般入試よりAO入試や指定校推薦を狙うのがおすすめです。専門学校の推薦入試の願書受付は、だいたい10月1日ごろから開始され、募集期間は長めに設定されています。AO入試は推薦入試より早い9月頃から願書を受付開始することが多いため、募集要項は早めに調べておきましょう。

AO入試(アドミッション・オフィス入試)

AO入試は面接と小論文がメインで、出願者の人物像を受験校側の求める学生像(アドミッション・ポリシー)と照らし合わせて合否を決める試験です。高校からの推薦は不要で、受験校の条件を満たせば出願することができます。受験校への入学意欲が選抜基準の一つとなっていることが多く、ほぼ専願のみとなっています。出願条件として、受験校のオープンキャンパスへの参加や事前面談が設けられていることもあります。積極的に参加し、求められている要素を把握したうえで、自己アピールに活かしましょう。受験校の求めている学生像と受験者の人物像のマッチングがうまくいけば合格できるため、合格率は高めです。

推薦入試

推薦入試には、「学校推薦」と「自己推薦」があります。AO入試と同様、基本的に専願のみです。

・学校推薦
学校推薦には、「指定校推薦」と「公募制推薦」の2種類があり、両方とも高校からの推薦状が必要です。
指定校推薦は受験校側から高校へ推薦枠を提示するもので、選ばれるには学業成績や生活態度が重視されます。しかし校内選考を通過すれば、基本的には合格率100%です。姉妹校推薦や提携校推薦といった呼ばれ方もします。
公募制推薦は、受験校の出願基準を満たし、高校からの推薦があれば、どこの高校の生徒でも出願できる推薦です。ただし指定校推薦と異なり、出願しても絶対に合格できるとは限りません。
・自己推薦
自己推薦は、その名の通り自分で自分を推薦する入試で、一芸に秀でているタイプの人、高校生活で努力した実績が明らかな人に向いています。出願条件となる高校の成績は学校推薦よりも低めに設定され、面接が重視されます。志望動機はもちろん、高校生活を通しての経験や、学びへの意欲をアピールしましょう。

一般入試

専門学校の一般入試は、学校ごとに重視されるポイントがかなり異なります。書類選考だけで合否が決定する学校もあれば、国家資格を目指す医療・看護系専門学校では理数科目の筆記試験を重視する場合もあります。また、建築・美術系ならデッサン、スポーツ系なら体力測定、保育系なら楽器演奏など、実技試験を設けている学校もあります。分野が同じでも、学校ごとに入試内容は様々のため、受験校の出題傾向を調べて入試対策を行うことが求められます。

一般入試のメリットは、AO入試や推薦入試と異なり、併願が認められていることです。出願期間の締切りは学校や学科ごとでばらつきがあるため、受験校の出願期間と試験日程は、早めにチェックしておきましょう。

通信制高校卒業後の専門学校への進学率の高さ

文部科学省の調査(*)によると、令和元年度のデータでは、通信制高校から専門学校への進学率は23.3%と、およそ4人に1人が専門学校へ進学しています。大学進学率の17.6%と比較すると、専門学校への進学率の高さがうかがえます。
(*)「令和2年度学校基本調査」(文部科学省)https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/kekka/k_detail/1419591_00003.htm

専門科目に強い通信制高校

専門学校への進学率が高い理由の一つとして、専門学校と連携している通信制高校の存在が挙げられます。
専門学校と提携している通信制高校では、高校卒業のための学科科目と専門分野のカリキュラムを並行して学ぶことができます。本来ならば専門学校入学後からしか学べない専門的な内容を高校生のうちから学ぶことができ、資格の取得を早めることも可能です。憧れの職場で働く目標を叶えたい人にとっては、夢への近道と言えるでしょう。

中には専門学校を母体とする通信制高校もあり、進学の際、学費や入学金が一部免除になる場合もあります。そういった学校は、専門学校の指定校推薦枠をたくさん確保しているため、不合格者が出にくい仕組みになっています。

進学のステップとしての専門学校

専門学校への進学は、就職に有利な「専門的な技術・資格を取得できること」が大きな理由として挙げられますが、さらに専門的に学びたい人にとっては、進学のステップにもなり得ます。
2年制以上(総授業時数1,700時間以上)の学科を設置している専門学校の卒業で、「専門士」の称号が取得でき、4年制大学3年生への編入学ができるようになります。同じく4年制の専門学校を卒業すると「高度専門士」の称号が取得でき、大学院への入学資格を得ることができます。
通信制高校から専門学校という選択は、将来の夢への着実な一歩に繋がっています。

まとめ

専門学校とは「専修学校専門課程」のことです。専門学校ではないが名前が紛らわしい教育施設も数多く存在するため、興味のある学校がどの分類の学校なのか、あらかじめ調べておきましょう。

専門学校へ入学するには、高校卒業以上の資格が必要です。通信制高校から専門学校への進学率は高く、専門学校と提携している高校から指定校推薦を狙うのが、最も合格しやすいと言えます。ただし、校内選考の枠に入るためには、日頃の生活態度や成績が重要になるため、こつこつと真面目に取り組むことが大切です。

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