通信制高校の学費やしくみ

技能連携校とは?特色やカリキュラムを解説

自学自習を基本とする通信制高校ですが、専門的知識を学ぶためには限界があります。そこで、力になってくれるのが技能連携校です。今回は、技能連携校の役割やカリキュラムについてご紹介。ぜひ、有意義な高校生活送るための参考にしてみてください。

技能連携校の果たす役割について

学校教育法第55条では「技能連携制度」として、技能連携校を以下のように定めています。

「高等学校の定時制の課程又は通信制の課程に在学する生徒が、技能教育のための施設で当該施設の所在地の都道府県の教育委員会の指定するものにおいて教育を受けているときは、校長は、文部科学大臣の定めるところにより、当該施設における学習を当該高等学校における教科の一部の履修とみなすことができる」(学校教育法 第55条1項)

この技能連携制度を簡単に説明すると、通信制高校に在籍しながら、連携している技能連携校で、専門科目を履修できるということです。「技能教育のための施設」を有する機関を一般的に「技能連携校」と呼びますが、具体的には教育内容や設備が充実した高等専修学校、専門学校、職業訓練学校を指します。技能連携校は、通信制高校で高等学校の卒業資格取得を目指しながら、仕事につながる知識やスキルを身に付けられる学校であり、具体的に将来の目標を考え、学ぶきっかけを与えてくれる場所なのです。

入学方法から見る技能連携校の特徴

専門知識、技術を習得しながら、高校レベルの学習を行う技能連携校ですが、各都道府県の教育委員会が指定し、通信制高校と「連携」した教育施設でないと授業を受けることができません。では、技能連携校で学びたい場合、どのようなプロセスを踏めば良いのでしょうか。順を追って見ていきましょう

技能連携校での履修を考えている場合

技能連携校での履修を考えている場合のフロー

特徴としては、入学から卒業まで二つの学校に籍を置くことです。技能連携校での学習の一部は、通信制高校の授業の一部として認められるため、専門分野を学びながら効率的に高校卒業を目指すことができます。技能連携校と同タイミングで入学し、3年かけて、高校の卒業を目指します。

通信制高校と技能連携校に同時入学するため、学費については2校分が必要となります。技能連携校での学習は、専門的な科目が中心であり、登校日数が多いことから、通信制高校のみに通うよりは費用がかかります(技能連携校における学費の目安は、入学金と学費、諸費込みで初年度60〜100万円程度)。卒業時には、通信制高校と技能連携校、両方の卒業証書を受け取ることができます。

技能連携校のカリキュラムとは?

技能連携校では、実社会を渡っていくための知識やスキルを学び、専門的な資格の取得ができるような指導を進めています。よって、技能連携校のカリキュラムには、普通科目以外に商業実務科目、工業系科目、社会福祉科目、調理・製菓科目、服飾・家政科目など、職業教育を目的とする多くの学科をそろえています。

例えば、次のような専門学科が用意されています。

商業実務科目
コンピュータ演習、計算事務、運営管理など
工業系科目
製図、生産システム技術、情報処理工学など
社会福祉科目
介護福祉基礎、生活技術支援、コミュニケーション技術など
調理・製菓科目
公衆衛生学、栄養学、調理理論など
服飾・家政科目
服飾文化、ファッションデザイン画、服飾造形など
美容系学科
衛生管理、着付け、理美容実習、メイクなど

それぞれの教育機関によって異なりますが、各学校が掲げる教育方針のもと、普通科目と専門科目を組み合わせ、バランスの良いカリキュラムを編成しています。

また、学習スタイルにおいては、全日制と同じように週5日登校が一般的です。学習の負担を感じるかもしれませんが、技能連携校で学習することで、通信制高校の単位を取得できる点は、大きな魅力といえます。介護福祉検定、簿記検定といった資格を目指すことができるなど、学びたい学科を徹底的に習得することができるため、実りある学校生活が送れることでしょう。

技能連携校は、専門的な知識と技術、そして資格を、単位と共に得られる場所です。学校によってさまざまな分野のコースが設けられており、実社会の動きを高校生の時から感じることで、将来の自分をより現実的にイメージできます。卒業した先の自分の姿を明確にするために、技能連携校との同時入学を選択肢の一つとして、考えてみてはいかがでしょうか。

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