不登校から勉強の遅れを取り戻し、高校や大学に進学するには

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不登校が長く続くと勉強の遅れが目立つようになります。勉強を追いつくために、何から勉強をすればよいのかがわからないという生徒、保護者も多いのではないでしょうか。また、中学生、高校生になり成長すると、子供の心理がわからない、やる気を出してもらうにはどうすればよいのかがわからない保護者の方も多いかと思います。不登校から勉強を追いつき、高校や大学に進学するために、どのようなことが必要なのかをキズキ共育塾の半村様にお伺いをしました。

小学校で不登校になると勉強への不安から劣等感が生まれる

不登校になると「勉強が遅れている」と、子どもも保護者も考えます。家に居ながら自分で勉強を進められる子はほとんどいないので、そう考えるのは当然でしょう。
特に小学生の場合、低学年で不登校になると学習の基礎が身に付いていません。そして、不登校のまま学年が上がると、子どもは「基礎が身についていない自分は、学年同様のステップに進めないのではないか」と不安になります。そして、その不安から劣等感も生まれるという悪循環に陥るケースが多いです。また、学校は子どもにとっての社会です。友達づくりやコミュニケーションの取り方も学校で経験するので、子どもも保護者も「社会性が欠如した人間になるのではないか」と感じています。

このような状況に対して、保護者や祖父母の方は「大丈夫だよ」と声を掛けることが多いです(し、実際に大丈夫だと私も思います)。ですが、残念ながら身内の方の声掛けは子どもには響かないこともあります。子どもは、「親や祖父母は子どもを励ますもの」と思うからです。
そして子どもは、言葉や態度には出さなくても、本心では「全然大丈夫じゃないでしょ」と思っているのです。

勉強の遅れを取り戻すために第三者に介入してもらう

勉強の遅れを取り戻すために第三者に介入してもらう

不登校になった小学生が勉強の遅れを取り戻すためには、両親や祖父母の声掛けだけではなく、違うアプローチも必要です。「どのように勉強の遅れを取り戻すか」について、今後のシナリオを一緒に考えてくれる第三者(不登校からの学び直しに詳しい人)を見つけましょう。
なぜ第三者が必要かというと、子どもには、勉強についてもそれ以外でも、「身内だからこそ相談できないこと」があるからです。第三者だからこそ、本音を話せたり悩みを相談できたりします。

その第三者が子どもと接するときに重要なことは「不登校の子どもとして扱う」のではなく、「一人の人間として向き合う」ことです。学校に行っていてもいなくても、子どもは「一人の人間」です。成長もしています。不登校という属性にのみ着目して扱うと、子どもは自分の無力さを痛感し、無気力になります。少し違う言い方をすると、「腫れ物のように扱うのはやめましょう」ということです。(もちろん、場面によっては「子ども」として、また「不登校の人」として扱うことが大切なときもあります)

ここで一つ注意してほしいのは、「『住んでいる地域の教育支援センター』を第三者として活用しようとすると、子どもが嫌がる可能性がある」ということです。子どもは自分が上手くいっていない姿を知り合いに見られたくありません。支援を受けるにしても、元気に登校していた頃の友達にだけは絶対に知られたくないと考えます。
地元で公的機関の支援を受けると、どこかから知り合いたちに情報が回る可能性があると、心配になるお子さんもいます。子どもが地元の教育支援センターに行きたくないと言う場合は、隣の市や県のフリースクール、不登校専門の塾や家庭教師を活用してください。
(もちろん、住んでいる地域の教育支援センターが嫌でない場合でも、隣の市や県のフリースクール、不登校専門の塾や家庭教師を利用を相談先の選択肢の1つとして持っておいて良いでしょう。)

勉強を継続させるために「社会」や「数学」からはじめよう

勉強を継続させるために「社会」や「数学」からはじめよう

中学生や高校生になると、小学生と比べて「周囲と比較する度合い」が強まります。思春期なので容姿を気にする子はとても多く、その他にも成績、進路、クラスや部活動での立ち位置などさまざまです。そして、「どこに所属しているのか」「自分は何ができるのか」というステータスを求めて勉強を頑張りはじめる子もいます。これは、不登校の子どもも同じです。
ただ、(勉強を始める動機はなんであれ、)不登校だと、勉強をしようと思っても勉強方法がわからない子はとても多いです。勉強方法がわからないと、なかなか成果は上がりません。また、勉強方法がわかっていても、すぐの成果には繋がらない科目もあります。例えば英語です。英語は毎日の積み重ねが必要な科目で、短期間で成果が出にくい科目です。勉強方法がわからないならなおさらでしょう。そうなると「1週間頑張ったのに何も身に付いていない」と思い、勉強のモチベーションを失います。
第三者から勉強方法についてのアドバイスも受けながら、まずは社会のように細かく区切られている科目からスタートすることで、勉強の成果を実感しやすくなります。意外かもしれませんが、数学も単元ごとに区切られているのでオススメです。

大学受験は科目数が少ないから好きな科目で学力UPを目指そう

大学受験は科目数が少ないから好きな科目で学力UPを目指そう

小学校と中学校では科目の量と難易度が違います。高校も一見すると科目がさらに増えるように思うかもしれません。ですが、高校入試と比べると、多くの場合は大学入試の方が科目は少なくなります。ですから、全ての科目を平等に頑張らなければいけないわけではありません。
大学受験のためには、すべての科目の成績を満遍なく上げるよりも、まずは好きな科目を頑張ってみるのが良いでしょう。
学校や学校との結びつきが強い教育支援センターでは、教科書の目次の順番に沿って勉強を教えます。しかし、例えば「生物」の中でも、家で動物を飼っているなら動物に関する単元を先に学んだ方がすぐに勉強の成果が出ます。不登校支援を行っている学習塾などは、目次の順番にとらわれていないので、興味のある単元から勉強できます。

最後に、不登校のお子さんが勉強をし始めた時の、家庭での対応に関する注意点もお伝えしたいと思います。不登校のお子さんの勉強開始を機に、生活リズムも整えようとする家庭の話もよく聞きます。しかし、勉強をはじめてさらに生活リズムまで矯正するのは大変なことです。
不登校で昼夜逆転になっていて夜の方が勉強がはかどるのなら、しばらくは昼夜逆転のままでも構いません。継続的に勉強ができるようになってから生活リズムを整えましょう。

半村 進
サポート校

キズキ共育塾(株式会社キズキ)

専門相談員

半村 進

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