「人生100年時代」という言葉をご存知ですか?
これはロンドン・ビジネススクールのリンダ・グラットン教授が提唱したもので、日本では2007年生まれの約半数が107歳まで生きるという予測が立てられています。
これからの長い人生を豊かに過ごせるように、自分が望む生き方を選べるように。
高校卒業後の進路を考えるのは、とても大切なこと。でもそれは同時に、とても難しいことだとも思います。
自分は何がしたいのか、何ができるのか、そのためには何をしたらよいのか……。高校生のうちに明確なビジョンを持てる人は、そう多くはないかもしれません。
そんな生徒に向けて進路指導に力を入れているのが、『八洲学園高等学校』です。今回は、同校の進路活動とともに、その一環として行われた「進路講話」の様子をご紹介します。
さまざまな体験から、進路を考える3年間に
『八洲学園高等学校』は、生徒の個性を大切にした複数のコースを設けています。
毎日通学する「ベーシッククラス」、週3〜1日の午後に登校する「マイスタイルクラス」、先生が生徒の自宅などを訪問し、完全個別で学習をサポートする「ホームサポートクラス」、そして自学自習の「通信クラス」。どのクラスも、単位制を敷いています。
これらの多彩なクラス設置により、働きながら通学や不登校など、なんらかの事情を抱える生徒も無理なく高校卒業を目指すことができます。
また、すべての活動を進路と結びつけて行うことで生徒の自立を促すという方針のもと、入学時から計画的に進路活動を行っていることも特徴のひとつです。
例えば1年生では、進路についての意識づけを中心に、ガイダンスや体験学習を通して「なりたい職業ベスト3」を決める。2年生ではそれをより具体的にしながら、大学や専門学校など、進路の方向性を決定。そして3年生では、面接や小論文など、受験に必要な実践的な指導を行っています。
また時には大学の先生を招いて実際に大学で行っている授業を体験したり、“大人になるため”の進路の時間として、金融関係の講師からクレジットカードや保険、契約について学ぶ機会を設けるなど、ユニークな進路活動を展開しています。
共通して言えるのは、学校生活だけではなかなか機会がない、社会の“生の”声や考えに触れること。これらの活動を通じて、生徒が自然と自分の進路に思いを巡らせ、初めの一歩を踏み出すきっかけ作りをしています。
ビジネスの第一線で活躍する社長の話を聞く機会も

このような進路活動の一環として、IT企業の社長による講話が行われました。ここでは、その模様を一部ご紹介します。
講話では、講師である社長がどのような学生生活を送ってきたか、なぜ起業したのかから始まり、仕事の楽しさや大変さ、仕事をする上で大切にしていることなどが語られました。
「ワクワクしている時や成果がカタチになった時に、仕事の楽しさを感じます」
「仕事は楽しいだけではありませんが、お金をもらっている以上、そこには責任があり、その責任をきちんと果たしていく必要があります。これは常に求められることです」
「たくさんのお金をもらうということは、その分、高い品質を提供しなければなりません」
今まさに第一線で活躍する社長の“生の”言葉は、生徒にとって「社会で働くということ」のリアルを知る機会となったようです。
授業後、生徒に講話の感想や将来の夢について聞いてみました。
Y.Tさん(1年生)
やってみたいことはたくさんあるけれど、一歩踏み出せていない状態だったので、先生の「学生のうちに、好きなことはしておいた方がいい」という言葉が心に残りました。
今は、アコースティックギターや料理に興味を持っていて、できるようになりたいなと思っています。自己紹介などの場で特技や長所を聞かれた時に、「これです!」と自信を持って言えるような何かを見つけていきたいです。

T.Kさん(1年生)
まだそれほど明確になっているわけではありませんが、将来は映像関係の仕事に就きたいと思っています。映画で使われているCGや、バラエティ番組の面白さを演出する編集などに興味があって。そのために、卒業後は専門学校に通いたいと思っています。
今日のお話で、「一番を目指すこと」の大切さを知りました。例え結果として一番になれなくても、そこに向けて全力を尽くすことに意味があるのだと感じました。

Y.Mさん(1年生)
今、一番の夢は看護師になることです。大変な思いをしている患者さんを、支えてあげられる存在になりたいと思っています。
それともう一つ、韓国のファッションやメイク、コスメが大好きなので、将来は韓国に住めたらいいな、と考えたりもしています。日本で看護師としての経験を積んで韓国に留学するのもいいし、海外全般にも興味があるので、英語なども習得して語学を生かした仕事をするのもいい。そのために、まず今は韓国語から勉強中です。

授業中の生徒たちはおとなしい印象でしたが、一人ひとりに話を聞いてみると、十人十色、いろいろな思いや考えをしっかり持っていると感じました。
このほか「進路の時間」では、自分を見つめ直し、5年後、10年後を見据える“自分史”を作ることもあるのだとか。
『八洲学園高等学校』では、このような活動を通じて、“進路をしっかり決めて卒業する”ことを大切にしているとのこと。
さまざまな選択肢のなかから、自分の人生を自分で選び、決めていけるように。
学校選びには、その学校が持つ進路指導のあり方も含めてみてはいかがでしょう。