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苦手があっても、普通高校で卒業を目指す。

子ども達が通信制高校に望むことは、さまざまです。自分の好きなことをとことん追求したい、進学を目指したい、中学校までは不登校だったけれど高校には行きたい・・・。

学び方の多様化にともない、変化と進化を続けてきた通信制高校。そのような多様化のひとつとして、発達に特性のある子どもを手厚くサポートしているのが、『興学社高等学院』です。

今回は同校の中でも特に、苦手なことが多かったり、発達に関する何らかの障がいを持っている生徒が多く在籍する「リベラルアーツ科」についてご紹介します。

幅広い特性に応じるリベラルアーツ科

お話を伺った『興学社高等学院』佐藤純平先生

『興学社高等学院』のリベラルアーツ科は、2016年に新設されました。もともと、コミュニケーションや勉強の面で、何かしらの苦しい思いを抱えている子どもへのサポートに強みを持っていた同校ですが、リベラルアーツ科は他科(総合進学科等)に比べて、苦手にしていることや困難なことが多い子どもを対象にしているのが特徴です。新設の理由を、同校の佐藤純平先生に伺いました。

「大学進学を目指す通信制高校が増加しつつある中で、発達に特性のある子どもが通う高校として、当校の需要が高まってきた背景があります。それと同時に、特性による困難さの度合いも幅広くなってきたんですね。少し心が繊細なことを理由に入学してくる子どもと、障がいとして診断を受けている子どもを同じ方法で指導していくのは難しい。当校は、子どもの苦しさを取り除くことを大切にしていますから、その子に合った環境を重視します。そこで、より手厚いサポートをするための場として、リベラルアーツ科を新設しました」

社会で生きるために必要なスキルを身につける授業

リベラルアーツ科には、自閉症スペクトラム症やADHD(注意欠陥・多動性障害)、LD(学習障害)などの診断を受けている生徒が多く在籍しています。同科では、教科書に書かれている内容を学び、覚えていくことよりも、周囲と上手に付き合う、苦手なことについて助けを求められるといった社会的スキルの習得を重要視しており、「ソーシャルスキルトレーニング」を必修科目としています。

「ソーシャルスキルトレーニングの授業は、対人スキルに関するものが多いですね。挨拶の仕方や公共施設でのふるまい方などを、細かく学んでいきます。よく『TPOをわきまえなさい』などと言われますが、そのTPOとはいったいなんなのか。実は学習指導要領には一言も書いていないのに、大人になると当たり前のように求められます。これは“当たり前”のハードルが低い子どもにとっては、とても苦しいことなんです。ですから、その時々で必要な行動の意味や、その時に感じる気持ちを整理して分解して、噛み砕いて、社会の中で生きていくためのスキルを身につけられるようにしています」

授業では、日常生活を想定した実用的なケーススタディが用いられるとのこと。

「ケーススタディの一例としては、『電車の遅延で駅が大混雑している時に、人にぶつかられた。さあ、どうする?』というようなものがあります。普段ならうまくやり過ごせることでも、時間のズレでパニックを起こしてしまう子どもにとっては、それが大きなイライラの原因となってしまいます。これはとても苦しく、また危険な行動につながる可能性もあるので、そのイライラを抑えるスキルが必要なんですね。子どもからはさまざまな回答が出ますが、まずは否定せず、やってみて、感じさせることが、スキル習得への第一歩です」

子どもの自立・自律を見据えて

このようなトレーニングの成果は、子どもが「自立・自律」することにつながります。それを一番に感じるのは、保護者の方と話をする時だと佐藤先生は語ります。

「保護者の方からは、子どもが自分の気持ちを初めて言ってくれた、靴を自分で選びたいと言うようになった、などの喜びの声を聞きます。トレーニングを積んでいけば、就労継続支援・就労移行支援などを使って“働く”こともできるかもしれない。自分が望む生き方ができるよう最低限のスキルを身につけ、自律し、親離れできることが最大のテーマです。将来への希望が持てるのは、子どもにとっても、保護者の方にとっても大切ですから」

もちろんリベラルアーツ科では、ソーシャルスキルトレーニング以外にも高校での必修科目を履修し、普通高校卒業資格を得ることができます。そのような授業の際にも、個別指導に限りなく近いかたちで、学習をサポートしています。
また入学後の状況をふまえ、リベラルアーツ科から総合進学科、逆に総合進学科からリベラルアーツ科へのコース変更も可能で、卒業後の進路についても、生徒の強みをどのように活かしていけるかを1年次から検討していきます。

「リベラルアーツ科に在籍する子どもは、苦手なことがたくさんありますが、伸びしろも抜群にあるんです。残念ながら、今まではどうせできないだろうと思われていたことでも、当校ではひとつずつ“できる”を増やして、子どもの自立をサポートします。総合進学科とリベラルアーツ科のどちらにするか迷う場合でも、実際に子どもの様子を観察しながら、ともに検討していくことができます。ぜひ当校にきて、リベラルアーツ科へのイメージを膨らませてください」


「リベラルアーツ」という言葉には、「いろいろな勉強があっていい。国語も数学も、ソーシャルスキルも、その子どもにとって学びになることこそが勉強である」という意志を込めているとのこと。
たとえ学習指導要領に記載がなくとも、必要なことを必要な時に、適切に学べることこそが、真に子どもの将来を思う教育なのかもしれません。

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