偏差値から考える通信制高校の現実やメリット、デメリット

偏差値から考える通信制高校の現実やメリット、デメリット

PICKUP 通信制高校偏差値

大学受験の物差しである偏差値。この基準が適用されない通信制高校は、多様な生徒が集まり、一人ひとりの志望校に合わせたオーダーメイドの指導が可能です。ただ、全日制高校のように生徒間で競争する環境はありません。ID学園高等学校の鈴木先生は、通信制高校のメリットとして一番大きいものは勉強に躓いた経験があっても小学校や中学校からの学び直しができることだと話します。学ぶ楽しさを知り、友達づくりもやり直せば学校生活も謳歌できる。いろいろな生徒・先生との出会いが人生を変えるきっかけになるはずです。

通信制高校には偏差値がない。特定の指標に縛られないからメリットも大きい

通信制高校には偏差値がない。特定の指標に縛られないからメリットも大きい

偏差値とは予備校が大学受験のためにつくった物差しです。通信制高校には偏差値という基準は適用されていませんが、偏差値の一番下から一番上まであらゆる生徒が在籍していると考えてください。全日制高校では偏差値をベースに集められた生徒がそのクラスに合った授業や課題で切磋琢磨する一方、多様な生徒がいる通信制高校では生徒一人ひとりの志望校に合わせてオーダーメイドの指導をしています。

オーダーメイドだからこそ、学力が低い生徒は小学校や中学校の学び直しからはじめて大学を目指すことができます。必修科目を除けば受験勉強に費やせる時間も浪人生並みに確保できるため、偏差値という基準に縛られないことで学習方法や学習時間で大きなメリットを得られるのです。

逆に、通信制高校のデメリットは全日制高校のように競争する環境がないことです。切磋琢磨を促して生徒の能力を伸ばす指導もしていません。通信制高校には競争自体をストレスに感じる生徒もいるため、一人にひとりに合った指導に徹しています。

学校の楽しさを知り、学び直す。通信制高校ならそこから大学進学を目指せる

学校の楽しさを知り、学び直す。通信制高校ならそこから大学進学を目指せる

近年は大学入試自体も変化しています。従来の詰め込み型から思考力を問う問題が増えており、この点からも通信制高校に在籍する生徒のチャンスが広がったと言えます。全日制の進学校は推薦入試よりも一般入試での合格を目指す傾向にありますが、推薦入試の枠が拡大し、通信制高校から推薦入試や総合型選抜(旧AO入試)を活用して進学する事例も増えています。

医学部などの難関学部を目指す場合は相応の勉強量と適切な情報収集が必要となります。ケアレスミスも許されませんが、受験に必要な科目を集中して学べる通信制高校なら頑張り次第で合格も可能となるでしょう。

そして、通信制高校のメリットとして一番大きいものは勉強に躓いた経験があっても小学校や中学校からの学び直しができることです。文科省の検定教科書でも中1から振り返れるものがあり、その内容に沿ったレポートを選べばレポート学習を進めながら学び直しができます。何より、友達づくりからやり直し、改めて学校の楽しさを知ることで前向きな気持ちになれますし、そこからリスタートして大学進学を目指せるのも通信制高校ならではの魅力です。

カラフルな学び舎は出会いも多様。一つのきっかけが生徒の可能性を広げる

カラフルな学び舎は出会いも多様。一つのきっかけが生徒の可能性を広げる

地方にお住まいの場合、中学で不登校になり内申点が悪いと大学進学を望める公立高校に行けない可能性があります。その点、通信制高校なら多様な生徒がいるので大学進学を志す生徒と仲良くなれるでしょうし、一緒に学力を高め大学進学を目指せるはずです。

多様な生徒が集まるお陰で、通信制高校は自由度の高いカリキュラムを活かして音楽、ダンス、ネイル、ゲームなどさまざまな分野を学べる場所になっています。このカラフルな学び舎では誰もがいろいろな生徒・先生と出会え、一つの出会いが人生を変えるきっかけとなります。教壇の上から頭ごなしに勉強しろと言われると反発してしまう生徒でも、しっかり信頼関係を築けた先生から「勉強も頑張ってみようよ」と背中を押されると前向きに勉強に取り組むようになるものです。そして、生徒の可能性はどんどん広がっていきます。

このような教育は偏差値重視の環境ではできません。懐の深い私立の通信制高校だからできることです。

鈴木三成(ID学園高等学校)
通信制高校

学校法人郁文館夢学園 ID学園高等学校

外国語科教諭、入学相談・進路相談

鈴木 三成

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